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分光分析では、対象サンプルや様々な条件により複雑かつ大量のスペクトルデータから、スペクトルと算出対象との間の関連性を見つけ出す必要があります。 複数の独立変数からなる多変量データを統計的にまとめ、関連を分析する「多変量解析(ケモメトリックス)」は、スペクトルデータの解析手法として大変優れた手法です。
多変量解析を使用することで、あるサンプル内における特定物質の含有成分量(%)などを定量的に測定するための「検量線」を作成することができます。 今回は、 弊社で取り扱っています多変量解析ソフトウエア『NIRScope』を使って、多変量解析(ケモメトリックス)の手順を簡単に説明していきます。
検量線を作成する際に予め成分・量が決まったサンプルを用意します。 今回は、水の含有量測定…精製水の水含有量を100%、IPA50%の水分量を50%、IPA100%の水分量を0%の3種類を用いました。 ※本来は、濃度の異なるサンプルをなるべく細かいステップで用意することが望ましいです。
分光法によるスペクトルデータは、サンプルそのものだけではなく測定時間や測定方法(光の入射の仕方、測定箇所、その空間に存在する分子など)様々な条件によりデータのバラつきが発生するため、その中から成分・量と関連性のある要素を抽出することが困難です。 なるべくバラつきを小さくするためには、複数回測定することが望ましいです。 今回は、以下の条件のデータを10回ずつ測定しました。
次にデータの前処理を行うことで解析前にデータからノイズを低減し、検量線を作成する上で注目すべき要素を強調・抽出しやすくします。 Savitzky-Golay法に基づき、取得したスペクトルデータの前処理を行うのが一般的で、『NIRScope』では3種類の前処理方法から1種を選択し実行することができます。
取得した複雑で膨大なスペクトルデータを均し、データに含まれたノイズを減らすことができます。
一次微分を行うことで、複雑で膨大なスペクトルデータの中から変化点(傾きが大きい点)を強調することができます。
二次微分を行うことで、一時微分と同様にスペクトルデータの中から変化点を強調することができます。 一次微分と異なり、測定サンプルの物理的特徴(例:サンプルの形状、表面の状態、サイズ、量など)に由来するデータを理論上省くことができますので、生産管理が困難な自生物や農作物などの成分分析に適しています。 近赤外分光法において検量線作成を行う場合、前処理に二次微分を使うことが多いです。
最後に、取得または前処理をしたデータに対して多変量解析を実行します。 『NIRScope』では「PCA(主成分分析)」と「PLS回帰分析」の2種類から解析手法を選択できます。
スペクトルデータは各波長における光の強度をまとめたものです。 PCAは目的変数(この実験における水含有量)を含まずに、それぞれの波長におけるバラつき(分散)が大きい部分(主成分)を導き出すことが出来ます。 近赤外分光法によるスペクトルデータのように複雑で膨大なデータを数個の軸に要約することで、データ分類を行いやすくします。
PLS回帰分析はPCAで導き出される主成分と目的変数(この実験では水含有量0~100%)のバラつき(分散)が最大となる主成分を求める手法です。この結果導き出される回帰係数を使用することにより、スペクトルデータを水含有量に変換することが出来るようになります。
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