製造業における品質管理の重要性が高まる中、高速かつ正確な検査システムの需要が増加しています。
「工場での製品検査のために、パルス駆動によるレーザーを発振したい」という課題に対してのご支援事例を紹介いたします。
測定・計測機器等の開発や設計、製造を手掛けるA社へのご支援事例です。
高精度パルス型レーザーダイオードドライバー CCS用途例
工場の生産性向上に貢献:高周波数パルスレーザーで、インライン高速検査を可能に
課題の整理
「センサの品質検査に使用する、高周波数のパルス駆動レーザー発振装置を探している」とお問い合わせをいただきました。
A社は工場の生産ラインに組み込んでの使用を想定しており、ライン上に高速で流れてくるセンサの波長に異常がないかを1点ずつ確認するという用途です。
周波数の目標値は、300〜500MHz。生産ラインに乱れを生じさせないよう、安定した動作性も求められていました。

パルスレーザーの仕組み
Aerodiode社の高性能レーザードライバに着目
パルス幅を短くすることは技術的に困難で、ご要望いただいた【300〜500MHzの周波数を生成する装置】のご提供は難しい状況でした。
この課題を解決するため、私たちはAerodiode社のレーザー用ドライバCCS-HPに注目しました。

同製品はパルスジェネレータを内蔵しており、このドライバ1台で高周波数のパルス電流の生成と、10nsから1msまでの幅広い範囲でパルス幅を調整することができます。
また、250MHzオプションを付与することで高周波にも対応が可能です。
これが実現できるのも、フランスの代表的なフォトニクス & マイクロ波のテクノロジーセンターであるalphanovで長年培った技術力を持つAerodiode社の製品だからこそ。
レーザーの性能を最大限に引き出す上記製品ならば、A社の課題を解決し得る性能と安定性を持つのではないかと判断しました。
高周波パルスレーザーの安定性
高周波パルスレーザーは、低周波のものと比較して優れた安定性を有しています。
共振器長の短縮
高周波動作に必要な短い共振器長により、環境変動の影響を受けにくくなります。
温度変化や機械的振動などの外的要因に対する耐性が向上します。
高い繰り返し周波数
短いパルス幅でレーザーを発振する時、1パルスあたりのエネルギーが集中して強くなります。
また、短いパルスは、熱が周囲に広がる前に対象物を蒸発させることができます。対象物への熱的な影響を抑えられるため、生産ラインに乱れを生じさせずに安定した検査を継続できます。
集積化の容易さ
小型性を活かした集積化により、外部環境の影響を最小限に抑えます。
精密なフィードバック制御
高周波動作により、より精密な制御が可能になります。

1.5ns – 250MHz – 300mA(外部 LVTTL トリガあり)
これらの特性により、高周波パルスレーザーの導入は、A社のような高精度・高安定性を要求する用途に最適なソリューションと言えるのです。
メーカーと連携し、お客様のニーズに寄り添う
本事例ではA社の具体的な使用条件に合わせて製品をカスタマイズし、Aerodiode社と連携の上、実際の使用環境を想定したテストを実施。テスト結果の波形データをA社へご提供しました。
製品の高速かつ安定的な発振を視覚的にご確認いただき、製品を自社内に導入するイメージをお持ちいただいたことで、ご購入に至りました。
本事例を通じて、お客様の具体的なニーズに寄り添い、柔軟な製品カスタマイズと検証によって最適な解決策を提供することの重要性を改めて認識しました。
弊社(ケイエルブイ株式会社)では今後も、多様化するお客様の課題に向き合い、柔軟かつ的確なご提案によって光学技術の発展をサポートしてまいります。
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