弊社では日々、お客様からUV-LED照射装置に関する様々なご相談を頂いております。
特に、「UVランプとの勝手の違い(波長の特性や出力など)」や、他社様の製品で固まらずに困っている等のご相談が増えております。
そんな中、共通のお悩みを持った会社様が多いのではないかということから、今回、お客様の事例をご紹介させていただきます。
非常に大きなメリットがあるが、導入難易度も高いUV-LED照射器でお悩みのお客様の一助となれることを願っております。
UV硬化(接着)に用いていた従来のUVランプをUV-LED照射器へリプレースするプロジェクトが始動
現在、A社では精密機器の接着に、UV照射器を用いている。
光源は超高圧水銀ランプであった。
UV照射による接着の用途としては、A社の主力製品である精密電子機器のモジュールの接着である。
生産ラインに組み込まれたUV照射器からUV光がピンポイントで照射され、UV硬化接着剤が数秒で硬化する。
UV接着は、スピード・品質からA社にとって欠かせない基礎技術となっていた。
社名 | A社 |
---|---|
従業員 | 12,000人 |
業種 | 精密機器製造・販売 |
UV硬化の用途 | 電子部品の接着 |
【課題】高頻度なランプの交換コスト、電力料金の負担
A社では、UVランプの交換が、2ヶ月に1回程度発生していた。
高頻度の交換が求められている状態であり、コスト負担に悩みながらも受け入れざるを得ない状態であった。
設備更改のタイミングで、UV-LED照射器を検討

生産設備部門の技術者であるN氏は、近年のLED利用の高まりからUV硬化にLEDを用いることができ、メリットが大きいという情報を得た。
N氏が調べたところによると、LED化には下記メリットがある。
長寿命
従来の超高圧水銀ランプ・メタルハライドランプでは寿命が短く、数百時間~3,000時間程度。
それに対し、UV-LEDでは1万~4万時間もの長寿命。
低電力
製品、利用方法に依るが数分の一程度の試算となった。
高精度な制御が可能
高速の露光制御が可能なため、効率化が期待できるとわかった。設備更改により、全般的にラインの生産性向上が見込まれる中、UV硬化がボトルネックになることを避けられる。
ランプ交換費用及び電気料金の削減分を考えるとかなり早い段階で投資分のコストを回収できる試算のため、N氏の上司はUV-LED照射器の導入に対し、非常に乗り気であった。
メーカーに問い合わせ、導入試験開始。しかし、硬化しない
信頼性の高さに定評のあるメーカー製品を複数検証。しかし、UVランプのときよりも長く照射しているにも関わらず、なぜか接着剤が固まらない。
LEDでは自社の特殊な製造工程には適合しないのでは、という声も出ている状況。
そこでN氏の先輩であり、現在大手製造メーカー在籍の技術者に相談したところ「同様のケースで成功例があるので、会ってみたら良い」と、ケイエルブイをご紹介いただいた。
UV-LED照射器 ALE/1 実機検証へ
N氏がケイエルブイの担当者と相談する中で、2つの検証ポイントが浮かび上がってきた。
照射強度
LEDは一般的に、従来の高圧水銀ランプ等に比べ照射強度が弱い傾向にある。
波長の相違
LEDは出力される波長域が狭いため、ピーク波長の数値だけを見ても現行の光源と同等の結果が得られるかはわからない。
もし、上記2点に課題がある場合、UV-LED照射器である「ALE/1」で解決できる可能性があるとのこと
UV-LED照射器 ALE/1の特徴

高出力・高安定
業界最高水準の高出力UV-LEDだから
UVランプからの置き換えもスムーズ!
照射範囲の変更
スポット/面発光双方に対応
広い面積を照らす場合も高出力が効く!
波長&出力の制御
複数LEDの波長切り替え&出力制御が可能
スループット向上・処理時間短縮に貢献
高出力に加え、LEDでは難しい波長域の広いUV照射が可能なこの装置であれば、違った結果が得られる可能性があるとのことだった。
デモ機による検証開始
検証機は1週間前から他社へ貸し出し中であったが、導入が決まり丁度戻ってきたため、すぐに検証を開始できる事になった。
貸し出しの前に、ケイエルブイの担当者に以前に使用していたUVランプの出力や照射範囲などを伝えると、照射範囲に適したファイバーやレンズを紹介してもらい、光源と合わせて借りることができた。
さらに、UVランプの頃から問題になっていた”深度の深い場所の硬化と表面状態の両立”について、複数波長のLEDをコントロールすることで改善できる可能性があるとのことだったので、合わせて評価を行うことにした。
検証結果
①ハイパワーのUV照射により、硬化することを確認
実機を実際のラインにセッティング。UV照射器と合わせて使用した液体ライトガイドの取り回し性がよく、簡単にセッティングを行うことができた。
その後、365nm/385nm/405nm/435nmの4LEDの出力を最大にして、約2cm□の領域に従来使用していたUVランプと同じ時間(10秒)の照射を実施したところ、他のUV-LED照射器で30秒以上照射しても固まらなかったUV硬化樹脂が硬化した。
②UV硬化に適した波長を判定、最適な照射プログラムを構築
365nm/385nm/405nm/435nmの4LEDをそれぞれで照射を実施。
365nmの波長が最も硬化に寄与していることが判明。一方で、硬化の深度を調べると、435nmの波長が最も優れていることもわかった。
そこで、ケイエルブイの担当者から紹介のあった、「435nm→405nm→385nm→365nmと段階的に照射していくことで硬化の深度と効率を両立する手法」を検討することにした。
照射プログラムはUV照射器に搭載されているタッチパネルで簡単に行えるため、1週間のデモ期間中に、各LEDの照射強度や照射時間を変更した試行を何度も繰り返し、納得のいく硬化結果が得られる照射プログラムを見つけ出すことができた。
UV照射器「ALE/1」の導入が決定
デモの結果から、ラインにALE/1を導入することを決定した。
コストの観点から「最大5LEDが搭載できる高性能なALE/1」と「2LEDしか搭載できないがコストパフォーマンスに優れたALE/3」で最後まで悩んだが、最終的には”硬化後の品質が高い事”や”露光時間が短くできる事”を重視し、「ALE/1」を選択した。
その後のインラインへの導入に関しては、海外メーカーのためサポートの質を心配していたが、世界中の半導体業界、電気・電子業界、自動車業界などですでに使用されている実績と導入ノウハウがある機器で、ケイエルブイの営業担当から日本語でサポートを受けて順調に完了した。
現在では、1つのラインに複数のALE1を設置し、異なる角度から同時に照射することでさらに照射時間を減らす取り組みを試行をしており、良い結果が得られている。
導入が決定した装置はこちら
UV-LED照射装置 弊社担当者より
近年LEDの利用拡大に伴い、UV接着の分野でもLEDが選ばれるケースが非常に増えていると感じます。上手く適合さえすれば、メリットは計り知れません。
弊社では実際この仮想事例のように「LEDにしたいが、固まらず困っている」というお悩みからご相談頂くケースが増えております。
場合によっては、メーカー協力の下、カスタマイズ対応による検証なども行っております。是非気軽にお問い合わせください。