テラヘルツイメージングシステム uSense用途例

プラスチック内の異物の検出

ミリ波をベースとしたイメージングシステムはポリエチレンで構成された製品を透過し、また異なる材料の存在を反射率の差で見分けることが可能です。ミリ波は金属を反射する性質があるため、プラスチック等の製品内部に混入した金属片の検出ができます。
OPTIKAN社（フランス）のイメージングシステムは、完成した製品内部の金属異物を検査し、品質管理の向上や製造工程の改善を検討するためのデータ収集に活用できます。当ページでは、異物に見立てたコインが入ったプラスチック箱の撮影例を紹介します。

デモの内容

概要

OPTIKAN社製イメージングシステム「µSense」を使用し撮影しました。 「µSense」はミリ波を送信しその反射を検出するレーダー（FMCWレーダー）を搭載し、対象物をスキャンすることで透視イメージを取得します。

デモ手順

今回のデモの手順を以下に紹介します。

Step1セットアップ

1. uSenseの電源をONにする（電源がONになるとレーダーユニットから2個のレーザーポインターが点灯する）
2. 焦点レンズを付けない状態のまま、2つのレーザーのポイントがステージのアルミ盤上で重なる高さまで調節する
3. 焦点レンズ（50mm）を取り付ける

Step2サンプルの測定

4. サンプルをステージ上に置く
5. ソフトウエアを立ち上げる
6. レーダーユニットが走査する面をXY軸の座標で指定する（min, max）
7. XY軸 走査間隔を「0.2mm」に設定する
8. 「SCAN」ボタンを押す
9. ファイルの保存場所と名前を決定する

Step2透過画像確認

10. 取得したデータを読み込み、ミリ波の信号強度からZ軸を調節し透過画像を確認する
（※ソフトウエアにあるViewer機能またはMATLABを使用し解析できます）

測定結果（取得スペクトル）

プラスチック（赤線）に注目しますと、Z軸 322mm付近にピークが見られます。これは黒いプラスチック箱の底面に接したアルミ板からのミリ波の反射強度になります。今回使用しました焦点レンズは「50mm」のため、Z軸 322mmから約272mm（322mm-50mm）までの範囲にあるミリ波の反射強度が有効な信号となります。
※黒いプラスチックを通過しているため、アルミ板のベース（黒点線）よりもシフトした位置に存在します。 金属はミリ波を透過せず完全に反射する性質のため、非常に強い信号のピークが見られます。 そのため、Z軸 315mmに見られるピークがコインの表面から反射されたミリ波の信号強度を表していると言えます。

まとめ

「uSense」で取得したデータからプラスチック箱の中に入ったコインとその位置を透視することができました。