ミリ波をベースとしたイメージングシステムはポリエチレンで構成された製品の内部に含まれた別の材料を非破壊で透視することができるため、プラスチック製品内部の亀裂や空間を透視し接着の有無を確認することができます。 OPTIKAN社(フランス)のイメージングシステムは、完成したプラスチック製品内部の空間有無を検出し、品質管理の向上や製造工程の改善を検討するためのデータ収集に活用できます。当ページでは、プラスチックでできたブロックのサンプル撮影例を紹介します。
デモの内容
概要
OPTIKAN社製イメージングシステム「µSense」を使用し撮影しました。 「µSense」はミリ波を送信しその反射を検出するレーダー(FMCWレーダー)を搭載し、対象物をスキャンすることで透視イメージを取得します。

測定サンプル | 空洞のある黒いプラスチックブロック(3Dプリンタで作成)
プラスチック面積:50mm×50mm プラスチック厚み:35mm |
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使用製品 | uSense |
デモ測定環境 | uSense設定条件: ・使用周波数:120GHz ・焦点レンズ:50mm ・XY軸 走査間隔:0.2mm |
デモ手順
今回のデモの手順を以下に紹介します。
Step1セットアップ
1. uSenseの電源をONにする(電源がONになるとレーダーユニットから2個のレーザーポインターが点灯する)
2. 焦点レンズを付けない状態のまま、2つのレーザーのポイントがステージのアルミ盤上で重なる高さまで調節する
3. 焦点レンズ(50mm)を取り付ける
Step2サンプルの測定
4. サンプルをステージ上に置く
5. ソフトウエアを立ち上げる
6. レーダーユニットが走査する面をXY軸の座標で指定する(min, max)
7. XY軸 走査間隔を「0.2mm」に設定する
8. 「SCAN」ボタンを押す
9. ファイルの保存場所と名前を決定する
Step2透過画像確認
10. 取得したデータを読み込み、ミリ波の信号強度からZ軸を調節し透過画像を確認する
(※ソフトウエアにあるViewer機能またはMATLABを使用し解析できます)
測定結果(取得スペクトル)



プラスチック(赤線)に注目しますと、Z軸 360mm付近にピークが見られます。これは黒いプラスチック箱の底面に接したアルミ板からのミリ波の反射強度になります。空洞の縁(尖った部分)ではミリ波が散乱してしまい反射し検出器まで到達する電磁波の強度が下がってしまうため、グラフでは振幅の低下として見られます。また空洞のないプラスチックの信号(赤線)では見られませんが、空洞の界面(プラスチックと空気の界面)で発生する反射により空洞の箇所の信号(緑線)では340~345mm付近でピークが見られます。屈折率の変化が小さく、深さ解像度がmm単位のため違いはわずかですが、この界面での信号から空洞の有無を識別できます。
まとめ
「uSense」で取得したデータからプラスチックブロック内部の空間の有無を透視することができました。
テラヘルツイメージングシステム uSense製品詳細