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フルカラー3Dの高速撮像が実現

Ajile社「構造化照明型3Dカメラ」の強み

近年、マシンビジョンで3Dカメラが用いられるケースも多くなってきました。3Dマシンビジョンの市場規模は2020年で推計15億ドルですが、2025年には24億ドルに拡大するという予測もあります[参考元]。

需要の高まりと共に、3Dカメラに求められる要件も変わりますが、やはり「撮影スピード」や一定以上の「画質」は満たしておきたいポイントとして挙げられるでしょう。
また色の判別が必要な場合は「フルカラー」で撮像できる3Dカメラが求められます。

高速、高画質、フルカラー撮影。

一見厳しい条件のように思えますが、実はAjile社の構造化照明型カメラ「Depth Scan」であれば、これらのニーズをある程度叶えられます。

Depth Scan

今回は、マシンビジョンへの適合性も高い革新的な「構造化照明型3Dカメラの強み」を2つご紹介。
高性能の秘密に迫っていきます。

構造化照明型カメラの「2つの強み」

強み1高速・リアルタイム撮像

構造化照明型カメラの大きな強みとして、第一に「高速撮影が可能」という点が挙げられます。

エリアスキャン型の3Dカメラのため、スナップショットで一瞬で撮影できます。
さらにリアルタイムでの動画撮影も可能です。

撮影環境

強み2高画質・フルカラーの3Dデータ

2つ目の強みは「フルカラー」で「高画質」な撮影が可能であるという点です。

構造化照明型3Dカメラで撮影された3Dイメージは、ポイントクラウドとして生成されます。

撮影データ

ポイントクラウドとは?

ポイントクラウド(point cloud)とは、基本的にx, y, zの位置情報や色などの情報を持つ、3次元的な点の集合データです。点群とも呼ばれ、数え切れないほどの点によって3Dイメージを生成します。

Ajile社の3Dカメラ「Depth Scan」は、瞬時に1824×2280カラーポイントクラウドの撮影が可能です。

実は、一瞬の撮影時間で膨大な情報を撮像できるのは構造化照明型3Dカメラの「撮影の仕組み」が深く関係しています。
ここからは「何故、高速・高画質・フルカラーが実現し得るのか?」を、その仕組みに触れながら、解説していきます。

強み1DMDコントローラーで「高速・リアルタイム撮像」が実現!

構造化照明型3Dカメラは「照明」と「カメラ」の2つによって構成されています。

照明は「構造化光」と呼ばれる特殊なパターンの光を照射できる「構造化照明」です。
実は、この「構造化照明」が高速撮影のポイントです。

撮影の仕組み

私たちが普段使っているRGBカメラでは「平面のカラーイメージ」を撮影できますが、3Dカメラのように「奥行き情報」は撮影できません。

3Dカメラはx, yの平面情報に加え、z方向の「深さ・奥行き」を撮影できるカメラですので、何らかの手法で「奥行き情報」を取得する必要があります。

2Dカメラと3Dカメラ

構造化型照明の場合、対象に光を照射することでz方向の情報を獲得します。

1. 対象に構造化光を照射する

構造化光の照射

撮影対象に向けて様々なパターンを持つ構造化光を照射します。

2. カメラが光の歪みを判断する

3Dカメラで光の歪みを撮影

対象に光が当たると立体の凹凸で照明の光が歪みます。カメラは光の凹凸から奥行き情報を得ます。

このように照射された光の凹凸によって、3Dイメージを生成します。
実は構造化照明から照射される構造化光にはいくつかのパターンがあります。
3Dカメラは複数のパターンの凹凸を見ることで、正確な位置情報や色の情報を撮像します。

つまり高速で撮像するためには、複数パターンの光を高速で照射するための「光の制御」が欠かせません。 これを実現しているのが「DMDコントローラー」です。

DMDコントローラーによる光の高速制御

DMDコントローラーは「構造化照明」に組み込まれており、DMDの制御に関わっています。

DMDとは、デジタル・マイクロミラー・デバイス(Digital Micromirror Device)の頭文字をとったもので、反射率の高い極小の鏡(マイクロミラー)を平面状に配置したMEMSデバイスです。

DMDとマイクロミラー
マイクロミラーの傾き

個々のマイクロミラーは、それぞれ傾きを変えることができます。

DMDコントローラーは、平面に配置されたマイクロミラーの傾きを制御しています。

平面状に並べられたマイクロミラーが光を反射し、それがパターンを持った構造化光として対象に照射されます。

つまり次のような流れで構造化光は発せられます。

  1. 光源から光が発せられる
  2. DMDに反射
  3. コントロールされた光(パターン光)が撮影対象に照射される
構造化照明内部のイメージ図

構造化照明内部のイメージ図

構造化されたパターン光は一瞬のうちに大量に照射されます。
3Dカメラは複数のパターンを撮影することで3Dデータを生成しています。

様々なパターンの照射

DMDコントローラーは100万個以上のマイクロミラーを高速且つ正確に制御します。これによって構造化照明は、2500fpsというスピードで異なるパターンを対象に照射できます。
DMDコントローラーがDMDの綿密かつ高速なコントロールを実現しているからこそ、様々なパターンの光の高速照射が実現し、ひいてはリアルタイム撮像にも対応できる「高速撮像」が可能になったのです。

強み2高画質のフルカラー撮像の秘密は「センサー密度」に有り

センサーの密度が濃いほど、高画質のイメージを取得できますが、構造化照明型3Dカメラは別の撮影方式を用いているカメラに比べて「センサー密度が濃い」です。

何故、センサー密度が濃いのか?

通常カラーイメージを取得する場合、光の三原色であるRGB(赤・緑・青)それぞれに対応するセンサーが必要です。
つまり、1画素の撮影でRGB3つのセンサーが必要になります。

一方、構造化照明型3Dカメラは「モノクロセンサー」です。
モノクロセンサーは、光の明暗(強弱)のみを判別し、RGBとしての「色」は判別しません。
1画素の撮影に1つのセンサーで対応できるため、その分同じ面積でもRGBに比べてセンサーの密度が濃くなり、高画質な撮影が実現します。

ここで、一つ疑問が湧きます。
3Dカメラで撮影されているのは、フルカラーイメージ。
「フルカラーイメージをモノクロセンサーで取得する」これは一見、不可能なように思えます。

しかし構造化照明型3Dカメラの場合「照明」と「カメラ」が分離しています。
この分離がポイントです。

カラーイメージを取得する方法

通常のカメラの場合

通常のカメラはRGBの3つセンサーが、赤・青・緑それぞれの光の明暗(強弱)を判断しています。

各センサーで取得した情報が統合され一つのイメージになります。

RGB3つのセンサーでそれぞれの光の明暗(強弱)を取得する
  • 赤のセンサーが「赤い光」の明暗を取得する
  • 緑のセンサーが「緑の光」の明暗を取得する
  • 青のセンサーが「青の光」の明暗を取得する

構造化照明型3Dカメラの場合

カメラのセンサーはモノクロですが、構造化照明には「RGB」3つのLEDが組み込まれており、これによってカラー撮像が可能になります。

モノクロセンサーは「色」の判別はできません。しかし「光の明暗(強弱)」は測定できます。 そのため、次の方法を用いることで、RGBそれぞれの明暗(強弱)を取得できます。

赤の光を照射

赤の光を照射

センサーは赤(Red)の光の明暗を取得

緑の光を照射

緑の光を照射

センサーは緑(Green)の光の明暗を取得

青の光を照射

青の光を照射

センサーは青(Blue)の光の明暗を取得

このようにプロセスを分割することで、通常のカメラと同じように、カメラはモノクロセンサーで「RGB」それぞれの光の明暗(強弱)の情報を獲得できます。
照明とカメラは連動しているため、RGBそれぞれのデータを結合すれば、問題なくフルカラーでの3Dイメージを撮像できます。

1つのセンサーでRGBそれぞれの光の明暗(強弱)を取得する
  1. モノクロセンサーが「赤い光」の明暗を取得する
  2. モノクロセンサーが「緑の光」の明暗を取得する
  3. モノクロセンサーが「青の光」の明暗を取得する

RGBそれぞれに対応するセンサーがなくても、照明と連動させ、プロセスを踏んで撮影することで、1つのセンサーでRGBの情報を取得できます。

よって、1画素に対し、RGB3つのセンサーを用いなくても、フルカラー撮影ができ、センサー密度を濃くできます。
これは「照明」と「カメラ」が分離している構造化照明型3Dカメラならではの強みです。

照明側でRGBを高速制御し、カメラ側ではRBGを判断せず、それぞれの明暗(強弱)のみを取得するという仕組みのため、高画質に求められるセンサー密度を確保した状態で、高速でのフルカラー3Dイメージの取得が可能になります。

構造化照明型3Dカメラで「できること」

Ajile社の構造化照明型3Dカメラは「照明」と「カメラ」が分離しているため、高速、高画質、フルカラー撮影が実現します。
さらにAjile社独自の技術により、低遅延の同期を実現して、より高速な撮像が可能になるなど、構造化照明型3Dカメラは様々なことができます。
ここからはAjile社の構造化照明型3Dカメラ「Depth Scan」でできることを2つご紹介します。

できること1リアルタイムでプログラム処理

「Depth Scan」はリアルタイムの撮影にも対応しています。
自動組み立て用ロボットなどへの組み込みが可能など、幅広い応用が可能です。

こちらは22Hzでのリアルタイム撮影の映像です。

3D CADシステムとの連携

椅子の360度3Dデータ

椅子の360度3Dデータ

「Depth Scan」は取得した3Dイメージを3D CADデータとして読み込めます。
複数の3Dイメージを取得し繋げることによって360度の3Dイメージを生成できます。

元の3D CADデータとの比較検査でも活用可能です。

動画で実際のデータをご確認いただけます。

製品紹介

3Dイメージングシステム Depth Scan

3Dイメージングシステム Depth Scan

高解像度(4MP)・高精度(100um)の3Dイメージを高速(0.5秒)で、さらにカラーで取得できる構造化光方式の3Dカメラです。
カメラを開発したAjile社は、DMDを使用した構造化照明も開発。これにより高速、高解像度、フルカラー撮影が実現しました。

製品詳細