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蛍光探傷試験の実施方法と規格から検討する光源の選び方

蛍光探傷試験は工業検査においてクラックや細かい表面傷を検出する方法です。
対象はステンレス、アルミ、鉄などほとんどの金属、非金属に適用することができ、さらに複雑な形状や部位も検査可能な手法です。航空機のエンジンや金属精密部品、重工業機械の検査で用いられています。

蛍光探傷試験を実施する方法としては蛍光物質が加えられた液体を使用し、暗所で対象物の試験面に紫外線を照射し傷やクラックに入り込んだ液体が励起され、発光します。観察のためには光源と暗い検査環境が必要となります。

本記事では蛍光探傷の実施方法とその際に使用する光源装置の選定について解説します。


蛍光探傷試験の規格

まず蛍光探傷を実施するにあたって関連する規格について理解する必要があります。
蛍光探傷について定めている規格は以下となります。

蛍光探傷に関連する規格
  • 日本:JISZ2343-1およびJISZ2323
  • 米国:ASTM E1417/E1417M、E3022(LED光源を使用する場合)
  • 国際規格:ISO 3059

・JIS規格(JISZ2343-1およびJISZ2323)

JIS規格は日本独自の工業規格となります。ただし、基本的に国際規格に準拠していることが多く、今回のJISZ2343-1に関してもISO3059を元に作成されています。 光源の限定はなく、ランプ、LEDを使用する場合の必要な仕様が定められています。

・ASTM規格(ASTM E1417/E1417M、E3022)

対してASTM規格はアメリカ工業会が定めた規格であり、アメリカ内で製造されたエンジンやその他パーツにはこちらの規格が適用されます。またアメリカで製造され、ほかの国で検査される場合もこの規格に乗っ取って行われることがあります。
ASTM E1417/E1417Mでは蛍光探傷に加え蛍光を使わない白色光を用いた試験も含め液体浸透試験全全体について規定しています。使用する光源についてはランプを想定しており、LEDを使用する場合は定めている規格が異なるためE3022を参照する必要があります。


これらの規格では非破壊検査における手順および使用する薬剤や光源装置の仕様を定めており、蛍光浸透探傷法についての手順、注意点、光源の仕様など細かく解説があります。

蛍光探傷試験の手順

実際の蛍光探傷試験の手順について解説します。

STEP1:清掃

fluorescent-inspection1

対象物表面を洗浄液やアルコールを使用し、清掃します。 この時、表面に残留物が残っていると紫外線に反応してしまう可能性があるため、慎重に行います。

STEP2:蛍光浸透探傷液の塗布

fluorescent-inspection2

蛍光浸透液を対象物表面に塗布します。
この時表面にクラックや傷に浸透液が入り込みます。

STEP3:余剰蛍光探傷液の除去

fluorescent-inspection3

洗浄剤を使用し表面の浸透液を除去します。
これにより傷のある個所にだけ蛍光浸透液が残ります。

STEP4:現像液の塗布

fluorescent-inspection4

現像液を表面に塗布します。 これにより紫外線を照射した際に蛍光されるようになります。

STEP5:紫外線の照射

fluorescent-inspection5

暗所で紫外線を照射し、表面の傷の検出を行います。 STEP2で傷の内部に入り込んだ蛍光探傷液と現像液が反応し、紫外線を当てると励起され、発光します。

蛍光探傷で使用する光源の選定について

STEP5の紫外線の照射の工程において、光源を使用します。
この際に規格に乗っ取った光源を選定することで誤判定を防ぎ、より精度の高い検査を実施することが可能となります。

規格には定義された項目がいくつかありますが、ここではUVA光の出力、半値幅、可視域の出力値に着目します。

例として以下JISZ2343-1(JISZ2323)の規格で定められている光源の仕様を見てみます。
(JIS規格は基本的にISOに乗っ取っています。)

JISZ2343(JISZ2323)
UVA中心波長 365nm±5nm
UVA照度 ≥1000µW/cm²
UVA半値幅 ランプ LED
指定なし 30nm
可視域出力(400nm~) 20lux以下

(UVAはµW/cm2で測定、白色光はfootcandle(fc)もしくはlux(lx)で測定されます。fc : lx=1 fc:10.76 lx)

表に記載はないですが、ASTM-E1417はランプ光源にのみ言及しておりほぼJISZ2343(JISZ2323)と条件が同等になります。LED光源を使用する場合はASTM-E3022が適用され、UVA光の出力、半値幅をはじめとした項目で他の規格よりも厳しい仕様を要求されます。
ASTM規格についてはケイエルブイまでお問合せください。

上記の表からUVAの波長、出力、また白色光の制限を設けていることがわかります。また微妙な違いはありますが、ASTMを含めたほぼ全ての同様の規格で高いUVAの出力かつ可視域の出力を抑えた光が求められます。

この理由について解説します。

・蛍光探傷でUVA光の必要最低値が定められている理由

傷やクラックを精度高く観察するには浸透させた液体を蛍光させる必要があります。この時重要になるのが光源のUVA光の強度となります。UVA光が弱いと、浸透液が励起されず、結果として蛍光の発光強度が弱くなるため、傷を発見することが難しくなります。よってある程度強度を持ったUVA光源を使用することが必要となります。

・蛍光探傷で白色光の許容最大値が定められている理由

蛍光探傷においてはUVA光を使用し浸透液を励起し蛍光を観察します。この際、発生する蛍光は可視域での発光になり、励起光側で白色(可視)が混ざると、観察する際の蛍光と混濁し、観察の精度を下げる可能性があるためです。

蛍光探傷についてのまとめ

・蛍光探傷検査は蛍光浸透液と光源を使用し励起、蛍光の作用を利用して傷を発見する

・規格が定められているため光源選定の際には規格の詳細と光源の仕様の照らし合わせが必要。

・励起光は狭い半値幅のUVA光で、かつ出来る限り可視域の照度が抑えられている光が好まれる。

・安心して使用するためにはメーカーが規格準拠をうたっているものを選定するのがベスト。

蛍光探傷試験に最適な光源のご紹介

先述の規格および実際の検査工程を踏まえて、ケイエルブイ取り扱いの蛍光探傷用の光源をご紹介します。

SUPERLITE I04
  • 蛍光探傷用UVランプ光源
  • UVAと白色光を切り替え可能
  • ASTM-E1417に準拠
  • UVAで3000mWの出力を実現
SUPERLITE I05 DCE
  • 蛍光探傷用UVランプ光源
  • UVAと白色を切り替え可能
  • UVAで1500mWを実現
  • DC点灯によりフリッカーフリー
  • ASTM-E1417に準拠
SUPERLITE I06
  • 蛍光探傷用LED光源装置
  • UVA(365nm)と白色光の切り替えが可能
  • 工業検査規格ASTM E3022-15, RRES 90061, MTV 1030-1に準拠
  • UV光(365nm)は200mW、1500mWの2種類をご用意
  • 従来光源でお使いの液体ライトガイドを接続可能

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