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分光器選定ガイド - 波長から探す

今回は「波長」を基準にした分光器の選び方をご紹介。

当ページでは弊社製品の一覧表だけでなく、分光器を選ぶ際に欠かせない「波長」の基本を解説。
さらに「波長の特性」や「分光器の用途」と併せて、分光器の製品情報もご紹介いたします。

分光器一覧表

弊社取扱の分光器の一覧表です。(製品の詳細をご覧になる場合は、製品名をクリックしてください)

分光器と波長の関係

分光器の選び方は様々ありますが、選定において「波長」は欠かせない要素です。分光器を選ぶ際、仕様表で分光器が扱う「波長」を見る方も大勢いらっしゃいます。

分光器を選定する時「波長」を気にするのは、分光器が「波長を測定しているから」です。
分光器は光を波長ごとに分光し測定する機器です。
そのため分光器の測定データもスペクトルという「波長」の情報で出力されます。分光器が測定する光の情報(波長・強度)はスペクトル(spectrum)と呼ばれています。

分光器の測定で波長は欠かせない情報です。
ここでは製品を選ぶ時にも必要となる、分光器と波長の基本的な情報から解説していきます。

そもそも波長って?

波長=山と山の距離

波長は周期的な波のことで、山と山(あるいは谷と谷)までの距離を指します。

波長(はちょう、独: Wellenlänge、英: wavelength)とは、波(波動)の周期的な長さのこと。周波数と密接な関係があり、周波数と波長は反比例する。

Wikipedia「波長」より引用(最終閲覧日:2020年12月11日)

波長が短い・波長が長い

例えば「紫外線」は「短い波長」と言われます。
何が短いのでしょうか? これは山と山の「距離が短い」という意味です。

  • 波長が短い=山と山の距離が短い
  • 波長が長い=山と山の距離が長い

この「距離」の長さが、ナノメートル(nm)で表されます。
分光器の仕様表を見ると、測定可能な波長域を表す時「1550nm~1950nm」のようにナノメートル(nm)やマイクロメートル(μm)などの距離で記載されているのは、このためです。

例えば、私たちが目にする「青い光」は「450nm」のような短い波長を持つ光で、一方「赤い光」は640nmのように長い波長を持つ光です。

色は波長によって異なる

分光器は「光を波長ごとに分光する機器」

プリズム分光

私たちが目にしている「白い光」は、様々な長さの波長が混ざっている光です。
450nmの青い光、640nmの赤い光を始め、黄色、緑色、橙色など様々な波長の光が混ざって「白い光」を構成しています。

分光器はプリズムや回折格子を使って、光を波長ごとに分けることができます。これが「分光」です。 分光することで、光の情報を厳密に分析できます。

分光器が測定できる情報は「波長の強弱」ですが、ここから「物質にどの程度水分が含まれているか」など成分を割り出すことができます。

「光を照射し、測定することで成分がわかる」というのは不思議に思えますが、光は私たちが想像する以上の情報を持っています。
物質に光を当てると、光を吸収したり、反射したりします。これは分子レベルで起こるため、光の情報から分子の情報、つまり物質を構成する成分の情報が測定できます。

分光器は様々な波長を扱う

光は波長の長さに応じて、紫外線や赤外線など分類されます。

波長

例えば「近赤外分光器」といった場合「〈近赤外線〉を分析する〈分光器〉」と理解すると良いでしょう。
分光器は「私たちの目に見える光」である可視光を始め、赤外線、紫外線など、様々な波長を扱います。

ここからは波長ごとに弊社(ケイエルブイ株式会社)取扱の分光器を紹介いたします。

近赤外分光器

「近赤外分光器」は「近赤外線」を測定する

近赤外分光器は「近赤外線」を中心に取り扱う分光器です。

近赤外線は可視光の赤色に近い波長を持つ光で、波長域はおよそ「780nm-2500nm」。赤外線は英語でinfraredですが、近赤外線は「Near-infrared」です。こちらを略して「NIR」と表記されることもあります。

近赤外線の特徴

近赤外線は、中赤外線、遠赤外線に比べエネルギーが低い点が特徴です。そのため対象を損傷することなく測定できます。
また、近赤外線には「透過しやすい」という特徴があり、測定対象の深くまで光が浸透させられます。

近赤外分光器の用途

近赤外分光器は活用範囲が幅広く、食品、医薬品、農薬の分析や品質管理に用いられています。
また、固体だけでなく液体や気体の測定も可能なことから、オイル分析、ガス分析等幅広い分野で活用されています。

近赤外分光器の製品情報

超小型 近赤外分光センサモジュール

超小型 近赤外分光センサモジュール

2つの内蔵光源を持つ、小型かつ頑丈な近赤外分光器です。ソフトはデータの取得や保存はもちろん、光源の強度を10%刻みで10段階にコントロール可能です。

製品詳細
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近赤外 小型分光器 NIR SIGHT Mini

近赤外 小型分光器 NIR SIGHT Mini

波長範囲:900nm~1700nm(近赤外)
波長範囲900~1700nm/波長分解能6nmの仕様でありながら従来の分光器よりも安価なため、様々な用途でご使用頂くことが可能です。お客様の要求に応じて波長範囲・スリット幅・インターフェースなどをセミカスタムすることもできます。

製品詳細
有機半導体 分光センサー

有機半導体 分光センサー

波長範囲:400nm~1800nm(可視〜近赤外)
有機半導体技術をベースとした超小型・軽量のモノシリックセンサーチップ形態の分光センサーです。センサーのカスタマイズ可能。当センサーを活用しマスマーケットのアプリケーション開発を低コストで行うことができます。

製品詳細

中赤外分光器

「中赤外分光器」は「中赤外線」を測定する

中赤外分光器は「中赤外線」を中心に取り扱う分光器です。一般的に「赤外分光器」という場合も中赤外分光器を指している場合が多いです。(「中赤外分光器」と区別する形で、「近赤外分光器」や「遠赤外分光器」と言われます。)

中赤外線の波長域は「2500nm-25000nm(2.5μm-25μm)」で、分子の基本的な振動や回転振動構造の研究に使用されています。

中赤外線の特徴

中赤外線の特徴は、特定の波長域において分子の振動と関わる物質固有の「吸収スペクトル」が現れることです。
やや難解に聞こえますが、平たく言うと「中赤外分光器の測定データに物質を判別できる特徴が現れる」ということ。そしてその特徴は「分子の振動」によって違っています。言い換えるなら、分子Aが試料に含まれている場合は、分子Aの特徴が現れる測定データが得られ、分子Bの場合は分子Bの特徴が見られる測定データが得られるということです。

つまり分子ごとに違うスペクトルが現れる=スペクトルデータをみることで化学物質の同定が可能になります。
同定とは「物質の種類を決定すること」を指します。
例えば「ガソリンに何%エタノールが入っているか?」も中赤外分光器によって測定できます。(事例はこちら

中赤外分光器の用途

中赤外分光器は化学物質の同定が可能なことから含有量の分析、化合物の濃度測定が可能です。
ガス漏れ検知、血中アルコール濃度測定、温室等の二酸化炭素濃度モニタリングなど、成分分析、品質管理、モニタリングなど幅広い用途での活用が可能です。
また、近年は生体分子や細胞の分析のように医療分野での研究も進んでいます。

さらに、中赤外分光器は食品分野での検査・検出用途でも役立っています。
実際に米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)の科学者は携帯型近赤外分光装置を使用して違法な物質を検出しています(参考:Infrared_spectroscopy)。

中赤外分光器の製品情報

中赤外分光システム IR Sphinx Transmission:透過測定タイプ

中赤外分光システム IR Sphinx Transmission:透過測定タイプ

波長範囲:2500nm~11000nm
オイル、ミルク等の液体サンプルのインライン測定に最適な中赤外分光器です。18cm-1と36cm-1の間のスペクトル分解能を備えており、液体成分の厳密な分析が可能なため、産業用途でご利用いただいております。

製品詳細
中赤外分光システム IR Sphinx ATR:全反射測定タイプ

中赤外分光システム IR Sphinx ATR:全反射測定タイプ

波長範囲:2500nm~11000nm
燃料や肥料、飲料、樹脂分析など幅広い活用が可能な中赤外分光器です。2.5–5.0μmまたは5.5–11.0μmの波長域で使用できます。専用ソフトウェアによりスペクトル解析、評価が可能です。

製品詳細
sFITR分光器 IR Griffin

sFTIR分光器 IR Griffin

波長範囲:5000nm~16000nm
独自の光学設計により、小型、堅牢で高速測定を実現した分光器です。多くの研究室で使用されているFTIR(フーリエ変換赤外分光)分析装置と同等の性能を持っており、高速で移動するサンプルの測定や、ガス測定現場でのリアルタイム分析に適しています。

製品詳細

可視分光器

「可視分光器」は「可視光線」を測定する

可視分光器は「可視光線」の波長分析に特化した分光器です。

可視光線の特徴

可視光線は「可視」という字の通り、人間が目で見ることのできる光であり、その点が特徴と言えます。
可視光域の波長は下界おおよそ360-400nm、上界およそ760-830nmとされています(参考:Wikipedia「可視光線」)。

可視光線よりも波長が短く、あるいは長くなると人間の目には見えなくなります。
なお、可視光線よりも波長が短い場合は紫外線、波長が長い場合は赤外線と呼ばれますが、どちらも目には見えない光です。

可視分光器の用途

私たちの目は光によって色を認識しています。つまり可視光線を分光分析することは「色」を厳密に分析することにつながります。
そのため可視分光器は色の分析用途で大きな力を発揮します。この点から、照明の光、製品の色の品質管理などの用途でも用いられています。

可視分光器の製品情報

スマートフォン対応型 小型分光測色計 Spectro1TM

スマートフォン対応型 小型分光測色計 Spectro1TM

波長範囲:400nm~700nm
携帯アプリと連動した可視分光器。工業用材料、化学製品等の材料・品質チェックが簡単な手順で行える利便性の高さが人気の小型製品です。

製品詳細
スマートフォン対応 超小型分光計 GoSpectro

スマートフォン対応 超小型分光計 GoSpectro

波長範囲:400nm~750nm
スペクトルのリアルタイム測定が可能な紫外可視分光計です。カメラ付きのスマートフォンに取りつけてご使用いただける超小型サイズです。

製品詳細
小型分光器 IndiGo fluo

小型分光器 IndiGo fluo

波長範囲:380nm~750nm
携帯アプリと連動し、材料判別に適した小型分光器。工業用材料、化学製品等の材料・品質チェックが簡単な手順で行える利便性の高さが人気の小型製品です。

製品詳細

紫外可視分光器

「紫外可視分光器」は「紫外線」と「可視光線」を測定する

可視分光器は「可視光線」を分析します。
「紫外線」は可視光線よりも短い波長の光です。UV光とも呼ばれます。波長の長さによってUV-A(波長:320-380nm)、UV-B(波長:280-320nm)、UV-C(波長:200-280nm)のように分類されます。

紫外線、可視光線の特徴

紫外線、可視光線は赤外線に比べて「波長が短い」点が特徴と言えます。

物質に光を照射した場合、光を吸収したり、反射したりします。分光器もまた特定の波長を試料に照射し、その反応を見ます。
これは紫外線や可視光線といった、比較的短い波長の光を照射した場合も同じです。

では、試料に「短い波長」を照射した場合、どうなるのでしょうか?

物質が短い波長の光を吸収すると、分子の軌道が基底状態から励起状態へ変化(遷移)します。
紫外可視分光器の測定データには、このような分子の変化に伴って「物質固有の吸収スペクトル」が現れます。

つまり中赤外分光器で測定した時と同様、分子ごとに異なった測定データ(吸収スペクトル)が得られます。これによって、物質の同定が可能です。

紫外可視分光器の用途

中赤外分光器と同様、物質の同定や不純物の検出で用いられる他、有機化合物や生体分子、さらに遷移金属イオンなどの定量分析で活用されています。
(定量分析とは、サンプルに含まれる物質の複数の物質の絶対量または相対量を決定するための分析を指します。)

紫外可視分光器の製品情報

高感度 高分解能 小型分光器 fine SIGHT PRO

高感度 高分解能 小型分光器 fine SIGHT PRO

波長範囲:300nm~1000nm / 900~1700nm
高解像度、高感度、低ノイズと優れた性能を兼ね備えた紫外可視型分光器です。デザイン性の高さもポイントの一つですが、ラマン分光、蛍光測定など測定する光が弱いアプリケーションでも非常に高い性能を発揮します。

製品詳細

(※)上記製品は、分かりやすさを考慮し、弊社の製品カテゴリでは「可視分光器・照度計」や「近赤外分光器」として分類しておりますが、当ページでは波長による分類を重視し「紫外可視分光器」としてご紹介させていただきました。

X線/紫外光電子分光分析装置

「X線/紫外光電子分光分析装置は「X線」と「紫外線」を測定する

「光電子分光分析装置」とは「光電子分光分析法」によって対象を測定する機器です。
今まで扱う波長が異なっても「近赤外分光器」「紫外可視分光器」のように「分光器」と呼んできましたが、やや毛色が違う分析のため「光電子分光分析法」を用いる場合は「分光分析装置」と呼ばれることが多いようです。(ただし、近赤外線を扱う分光器の中にも「近赤外分光分析装置」はあります。光電子分光分析法=分析装置と呼ぶと言うような厳密な定義が定められているわけではなく、慣例と考えておくと良いでしょう。)

光電子分光分析法では、紫外線とX線を分析します。
X線は紫外線よりさらに短い波長(1pm〜10nm)の光です。レントゲン撮影など医療分野で活用されている印象が強いですが、分光分析にも用いられています。

X線の特徴

X線の中でも「軟X線」を照射すると、光電効果が生じます。
よって、スペクトル分析と関わる光電効果を引き起こす波長があることが、X線の特徴と言えます。

そもそも光電効果とは、物質に光を照射すると電子が光エネルギーを得て叩き出されることを指します。
試料に軟X線(約0.1 - 2keVのエネルギーが低くて透過性の弱いX線[引用元])を照射した場合、電子が放出されます。放り出された電子のエネルギー値によって、元素ごとに異なる「電子の結合エネルギー」が求められます。 X線を照射することによって、元素によって違う値が求められる=元素を検出したり分析したりすることができます。

尚、X線の照射により弾き出された電子を「光電子」といい、こうしたX線による分光法を「X線光電子分光法」と言います。

X線/紫外光電子分光分析装置の用途

ほとんどの元素の種類や電子状態を測定できます。
特に試料の表面を覆っている元素には敏感に反応し、元素の分布状態の分析も可能です。

定性、定量分析が可能なことから、電子状態の分析など研究分野で活用されています。
他方、表面の元素状態がわかるため、腐食や酸化等の分析や品質管理でも有効です。
また、腐食状態の把握だけでなく、ステンレスの耐孔食性(腐食への耐性)研究でも利用されています。

X線/紫外光電子分光分析装置の製品情報

X線分光器

X線分光器

波長範囲:0.3nm~1.6nm
高感度のデフォーカス凸面結晶X線分光器です。特別なデフォーカススキームによって、1回の測定で広いX線スペクトル範囲を取得できます。

製品詳細
XUV-VUV 分光器AGS

XUV-VUV 分光器AGS

波長範囲:6nm~210nm
短パルスレーザー実験の研究および特性解明に特化したX線分光器です。広いスペクトル範囲が1回の計測で記録できます。
CCD検出器は安定した量子応答を有し、定量的測定が可能です。

製品詳細
VUV-QFF 分光器

VUV-QFF 分光器

波長範囲:5nm~150nm
3個1組の回折格子を用いたことにより範囲全体を超高分解能に測定できるX線分光器です。
検出器(CCDアレイ、CCDカメラ、MCP)の変更が可能など、ユーザーの目的・用途に応じてカスタマイズができます。

製品詳細

(※)上記製品は、弊社の製品カテゴリで「X線/EUV/VUV分光製品」として分類しておりますが、当ページでは波長による分類を重視し「X線/紫外光電子分光分析装置」としてご紹介させていただきました。

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分光器の選定についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
用途や必要とされるスペックから、最適な製品のご紹介が可能です。

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