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分光法(Spectroscopy)は、対象物が透過、反射または吸収する光を波長に分割し、対象物中の成分を定性・定量分析を行う手法です。 分光法を用いた技術は溶液の濃度測定や、非接触での非破壊検査、薬品や食品の多成分同時測定を可能とし、様々な産業分野や研究機関で使用されています。
分光法は対象物や観測する現象により種類が異なりますので、用途に適したものを選択する必要があります。以下の代表的な分光分析法の種類と応用例を紹介します。
試料に光を照射し、透過または反射された光の強度から吸収した波長とその量を算出する分光法です。照射に使用される光としては、主に紫外線、可視、赤外線が用いられ、透過光・反射光はその波長に応じた分光器が使用されます。
紫外・可視領域の分光法を示します。試料に紫外線・可視光線を照射し、吸光度の変化によって成分量を算出する手法です。比色分析による試料の成分量測定に使用されます。また、例えばフィルムやフィルターなどの光学部品の透過率測定にも使用されます。
近赤外領域の分光法を示します。試料に近赤外線を照射し、吸光度の変化によって成分量を算出する手法です。近赤外線は物体を透過しやすいため、対象物を加工せずに測定できるメリットがありますので、食料品、製薬、紙、建材などの対象物に対し非破壊検査を行う場合に最適です。一方、近赤外領域では様々な吸収波長と倍音が複合し成分の特定や定量化が困難な場合がありますので、定量分析の場合には多変量解析(ケモメトリクス)が用いられることがあります。
水は近赤外領域にある特定の波長で光の吸収がみられ、また水分量によりその吸収強度(吸光度)が変化します。よって対象物に含まれる水分量を測定することが可能です。
近赤外領域よりも更に長い波長の中赤外領域を使用した分光法です。中赤外領域では試料の吸収がより強く表れるため、近赤外領域で複合した吸収波長の切り分けが難しかった試料の分析が可能になります。
ガスの測定方法は様々ありますが、赤外線分光法を用いることでガスに含まれる多成分を同時に測定することが可能です。また、ガスを直接測ることができるため前処理が不要で分析速度が速いためプロセスモニタリングに適しています。
赤外線分光法を用いることでガスに含まれる多成分を同時に測定することが可能です。また、ガスを直接測ることができるため前処理が不要で分析速度が速いためプロセスモニタリングに適しています。
紫外線などのエネルギーが高い短波長領域の光を物質に照射することにより発生する蛍光現象を検出し、その蛍光波長の特性から定性・定量測定する分光法です。物質により特有の蛍光発光が起こるため鉱物の分析や、紙幣やパスポートなどの偽造防止技術として応用されています。
油の色を測定することで油の劣化を捕らえ、 人間の目のような感覚的な指標ではなく数値化することが出来ます。
ラマン分光法は有機材料・無機材料の化学結合や分子結合の状況を分析する手法でです。 物質に単色光を照射した際、吸収や反射の現象とは異なる、微弱な散乱光が発生します。 散乱光の中には照射した単色光と同一波長のレイリー散乱とこれとは異なる波長のラマン散乱が発生します。 ラマン散乱光は物質における分子の結合状態により発生する波長(ラマンスペクトル)が異なるため、ラマンスペクトルを分光分析することにより、様々な物質を正確に同定することが可能となります。 ラマンスペクトルは鋭いピークの集合として現れるため、水分などが多く含まれた物質においても悪影響を受けません。このため赤外分光法では困難な水溶液の同定が可能となります。
一般的にラマン分光法で観測するラマンスペクトルは分子構造を正確に反映しますが、一方で感度が弱く、蛍光やノイズの影響により物質の同定が困難な場合もあります。 SERSはSurface Enhanced Raman Spectroscopy(表面増強ラマン分光)の頭文字を取ったもので、金や銀などの金属ナノ粒子上に物質が吸着した場合、ラマン散乱光が増幅する現象です。 通常のラマン分光法では検出困難な物質の同定もSERS法を用いることにより簡便に検出出来る可能性があります。
ラマン散乱の信号を増強することで、少量の様々な化学物質、細胞などの検出を可能にします。
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