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分光器の選び方

分光の技術を応用して作成された分光センサーや、実験室で使用する分光光度計など分光分析装置のことを総じて分光器といいます。
古典的なグレーティングやプリズムと2次元アレイセンサーを組み合わせた単純な分光器の他に、MEMS技術を組み込んだ分光センサーや、スマートフォンと組み合わせて使用する分光モジュール、センサーや光源と組み合わせて使用する分光フィルタ(LVF)、画像データに分光情報を付加出来るハイパースペクトルカメラなど分光器は多様な進化を遂げています。
ここでは近年多種多様となった分光器を適切に選択する方法を説明します。

分光器ページ

選び方の種類

分光器は主に3つの観点から選択することが出来ます。

  1. アプリケーションから選ぶ
  2. 波長から選ぶ
  3. サンプルの状態・形状から選ぶ

1. アプリケーションから選ぶ

分光法は古くから分析手法の一つとして使われてきました。
小型のマルチチャンネル分光器とPCの普及により様々な分野で既に使用されています。
分光器の採用を検討しているアプリケーションによっては従来の実績により適切なものが決まります。

水分量測定

粉体や紙、フィルムなどの水分を測定する場合、近赤外領域にある水分の吸収波長(1450nm,1940nm)における吸光度を使用します。水の吸収は非常に強くどちらの波長を使用しても有無の判定は容易です。ただし、1940nmの吸収波長の方が強い吸収を示すため、微量の水分測定に適しています。
測定対象の状態に応じて、透過方式または反射方式に対応した近赤外分光器が使用されています。

光源内蔵

発光体の分光スペクトル測定

発光体の分光スペクトルを測定する場合、はじめに測定したい波長帯を選択します。次に測定したい値を決める必要があります。発光体の相対分光スペクトルが知りたい場合を除いて、分光放射輝度などの絶対値出力が必要になります。多くの簡易な分光器は絶対値校正を行っていないため、標準電球を用意するか、光学機器の校正サービスを利用しセンサーを校正する必要があります。
測定方法は発光体の光を直接入射させて測定します。

油の分析

油の分析の場合、近赤外から中赤外領域の波長帯に対応した分光器が使われています。液体分析に対応した透過型の実験器具やインライン計測が可能なフローセルを揃える必要があります。
また、測定したスペクトルを評価する場合、多変量解析ソフトなどを使用すると分析の助けとなります。

油の分析

プラスチック選別

プラスチックなどの樹脂素材は近赤外領域においてそれぞれ異なる吸収スペクトルを示します。測定方法は素材の大きさや厚みによって変わり、薄膜やフィルムなどは透過測定を行い、プラスチック片やペレットなど大きいものは反射測定を行います。精度を上げるためには多変量解析ソフトを組み合わせることも有効です。

プラスチック選別

塗料の色分析

塗料そのものや印刷物などの色を分析したい場合は可視領域の分光器を使用するか色分析に特化した分光測色計を使用します。簡易の分光器や分光モジュールでも色の測定は可能ですが、照明条件や見る角度によって異なる結果を示すので、色の測定に特化した分光測色計を使用した方が安定して計測出来ます。

色の分析

溶液の成分分析

溶液の分析手法は、紫外可視近赤外領域のすべての波長帯で適切な吸光度測定を行います。溶液の種類によって可視領域を使用した比色分析を行う場合もあれば、近赤外分光法を応用して成分比などを求めることもあります。
測定はキュベットやフローセルなどを使用した透過測定を行います。

液体の分析

2. 波長から選ぶ

近いアプリケーションがない場合、測定したい波長範囲から選択できます。
分光器の波長範囲は大きく分けると、紫外線(UV)領域に対応したもの、可視光(VIS)領域に対応したもの、近赤外(NIR)領域に対応したもの、中赤外(MIR)領域に対応したものの4種類存在します。
それぞれの波長範囲で得意とする対象物や測定方法が異なります。

波長範囲

波長範囲

紫外線領域

紫外線領域の分析は吸光度測定や薄膜の膜厚測定などに使用されています。
紫外線はエネルギーが強く測定対象にダメージを与える場合があり、人体にも悪影響を及ぼすので注意が必要です。また、紫外線に対応した光源は多くなく、従来から使用されている重水素ランプやキセノン光源の他にはプラズマ光源やLEDが使われ始めています。

可視光領域

可視光領域は人間の目で観測可能な領域なので、色測定や比色測定、食品検査など幅広く使用されています。分光分析を行う上で最も普及している波長帯のため実験器具も安価に揃えることが出来ます。

近赤外領域

近赤外領域は可視光領域に近い波長帯の赤外線です。この波長帯は指紋領域と言われ、様々な分子結合が観測出来ます。近赤外領域の光は可視領域に比べて透過しやすい性質もあり、食品や医薬品の成分分析などに普及しています。また、水の吸収波長があるため水分量の分析も行うことが出来ます。

中赤外領域

中赤外領域は2.5~10μmの波長帯です。
この領域においては官能基の違いを分析することが可能になります。近赤外領域では分類出来ない物質も中赤外領域を使用することにより分類することが出来るようになります。

3. サンプルの状態・形状から選ぶ

分光器は様々な測定に対応可能な標準的なモデルの他に反射測定に特化したものや、光源の測定が可能なものなどがあります。
サンプルの状態(気体・液体・固体)や形状によって適した分光器を選択することでより良い結果が得られます。

気体測定

気体(ガス)の測定は、分子密度が低く、吸収が起きにくいため長い光路長を有した専用のガスセルを使用して測定します。波長帯は中赤外領域を使用します。

液体測定

液体の測定は、透過測定で行います。紫外・可視領域では5mm角や10mm角の光学セルを使用します。近赤外領域で水を含む液体の場合、水の吸光度が高く通常の光学セルを使用すると光が透過しないため、光路長1mm~2mmの光学セルを使用します。光の導光は光ファイバーを用いることが多いので、ファイバー接続タイプの分光器を使用します。
また、中赤外領域ではファイバーを使用した透過測定ではなく、ATR法を使用します。

固体測定

固体の測定は反射測定で行うことが多いです。反射測定の場合、光源とセンサーを近接して設置する場合や、光源と分光器を別に設置し、それぞれファイバー導光して計測することもあります。一部の食品検査では強い光を照射して漏れ出る微弱光を近外分光分析を行うこともあります。

分光器ページ

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