レーザー性能の正確な測定は製品開発において重要な課題と言えます。
今回は、専門的知識が少ない状況においても測定システム構築を可能にした、サポート事例をご紹介いたします。
フリースペース AOM(音響光学素子)用途例
レーザー性能測定の効率化:AOMシステム導入サポートの実践例
課題の整理
本案件は、お客様から「レーザーの性能測定方法を確立したい。レーザー発振タイミングとセンサ側と同期させて測定したい」とのご相談をいただいたことから始まりました。
AOM(Acousto-Optic Modulator)は音響光学効果(音波の力)を利用して、レーザー光を数ナノ秒単位で変調できる装置です。
お客様はAOMの使用経験がなく、「AOMを使えばできると思うが、具体的な方法がわからない」という状況でした。
要件の可視化から具体的提案へ
まず最初に取り組んだのは、お客様が実現したいことを明確にすることでした。
ご要望をお聞きした上で、図式化することで、必要なシステム構成を視覚的に整理しました。
この要件を踏まえ、以下の3点セットをご提案しました。

AOMスイッチ(光変調器)
- レーザー光の強度、タイミング、波形を直接制御
- 680nmから1850nmまでの広い波長範囲をカバーする14種類のモデルを有する
- 立ち上がり時間は標準モデルで約50-60ns、高速モデルで約10ns
RFドライバ
- AOMに必要なRF信号を供給する装置
- デシタル入力(TTL)に対応する「RFAOM-T」、アナログ入力に対応する「RFAOM-A」、両方に対応する「RFAOM-AT」の3種類
- 80MHz、100MHz、200MHzの周波数に対応
同期装置(TOMBAK)
- 多機能ディレイ/パルスジェネレータとして機能する装置
- パルスピッキング(モードロックレーザーから特定のパルスだけを選択的に取り出す)など、複雑な同期アプリケーションに最適
- 最小5ナノ秒の精度で最大4000ステップのユーザー定義波形を生成できる
この3点で組まれたシステムでは、TOMBAKがマスターコントローラーとして機能し、以下のように連携します。
- TOMBAKが入力トリガー周波数を分割し、生成した信号をRFドライバの「Sync In」入力に送信
- RFドライバがAOMに適切なRF信号を供給し、AOMがレーザー光を変調
- パルス幅と遅延を調整することで、各パルス間の消光比を最適化できる
技術理解を促進する包括的サポートと連携
AOMの導入経験が少ないお客様でも円滑に活用いただけるよう、製品提供にとどまらない技術的バックアップを実施しました。
製品利用のための技術サポート
- 詳細な使用方法の説明: 技術的な背景から実際の操作まで段階的に解説
- マニュアルの読み方ガイド: マニュアルに沿って操作を進められるように、専門的な内容を噛み砕いて補足
- 準備物リストの提供: 導入前に必要な周辺機器や環境の整備方法
メーカーを含めた技術連携
メーカーとも連携をとり、技術面を多角的にサポートさせていただきました。
- お客様、メーカー、弊社の間で情報共有
- メールでの説明だけでは伝わりにくい部分も、関連メーカーと直接コミュニケーションを取りながら解決
メーカーと技術的な整合性を確認しながら、お客様の製品導入時の不安を解消していきました。
未来の技術開発を支えるKLVの取り組み
本事例を通じて、単なる製品提供にとどまらない技術的な伴走の重要性を再認識しました。
特に、新たな技術導入を検討されているお客様に対しては、製品知識だけでなく、その活用方法や周辺環境の整備まで含めた包括的なサポートが不可欠です。
弊社(ケイエルブイ株式会社)では今後も、様々なお客様の技術的課題に寄り添い、「わかりやすく、使いやすい」ソリューションを提供してまいります。
専門的な知識や経験が少なくても安心してご相談いただける技術パートナーとして、お客様の技術革新を支援し続けます。
本記事に関するお問い合わせや同様の技術的課題をお持ちの方は、お気軽にご連絡ください。
お問い合わせ関連製品情報

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