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IoT×近赤外分光法
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研究室からとうとう飛び出した!?
IoTの世界に革命を起こす近赤外分光センサー

2018.07.05 |  IoT , センサー , 近赤外分光

農林水産業・食品産業・医療・ヘルスケア・製造業など、幅広い業界での活躍が期待できるのが「近赤外分光センサー」です。

  • ブランド果物の糖度を測定
  • 体脂肪量を容易に測定し健康管理に
  • トンネルや橋のコンクリートの劣化具合を測定
  • 食品偽装を見破る

これは近赤外分光センサーを用いた用途例の、ごくごく一部です。
近赤外分光センサーを用いることで、他のセンサーではできなかったことができるようになります。そのためIoTにおいて、まったく新しい市場が拡がる大きな可能性を持っています。

近赤外分光法×AI

近赤外分光センサーにより、これまで把握出来なかったことがデジタルデータとして取得出来るようになります。
データはAIによりパターンを学習させることによって判定・評価精度を高めることも可能なため、活用方法は、アイディア次第で無限大です。

近赤外分光センサーの特徴

― 商品価値を損なわず、測定可能に

研究室を飛び出した近赤外分光センサーは、将来的には製造業、農業、食品産業、そして医療といった分野の現場レベルで活用されるものとなるでしょう。

こうした幅広い分野での活躍が可能なのは、「非破壊」で対象を測定できるからです。
近赤外分光センサーは、近赤外線をセンサーによって測定することで、対象物の成分を分析したり、対象物を破壊せず内部を調べたりすることができます。

非破壊で検査できるということは、例えば、食品の品質管理などには最適な方法であるといえます。
食品の品質管理を現場レベルで行う場合、商品に手を施すことなく、迅速に測定できる必要があります。これまでの検査では、食品の内部成分を調べる場合、前処理や下準備が必要であったり、測定結果が出るまで長い時間を要するなど、現場で用いるにはあまり実用的ではありませんでした。

しかし近赤外分光センサーは、エネルギーの少ない近赤外線を用いて対象を測定するため、非破壊・非接触で食品の成分情報を得ることができます。
当然、食品の状態を変えることはありません。商品価値を損なわず、品質を管理することができる、まさに現場での導入に最適なセンサーといえるでしょう。

また近赤外分光センサーは、測定対象を選びません。
対象の状態が固体でも液体でも、さらにはペースト状でも、繊維状でも測定が可能です。そのため、応用範囲が幅広いことも魅力のひとつです。

近赤外分光法の研究事例

ここでは特に、近赤外分光センサーの研究が積極的になされている食品産業業界、医療・ヘルスケア分野、製造業分野での活用事例をご紹介致します。

例えば、食品産業業界。 冷凍カツオの脂肪含有量の測定や、老化した大豆とそうでない大豆を見分けることが可能であるという研究結果が報告されています。

【参考】
山内悟氏, 山内悟, 澤田敏雄, 河野澄夫「インタラクタンス方式の光ファイバーを用いた近赤外分光法による冷凍カツオ粗脂肪量の非破壊測定」(最終閲覧日:2018/06/27)
草間豊子, 阿部英幸, 河野澄夫, 岩元睦夫「近赤外スペクトルの主成分分析および主成分スコアを用いた判別分析による老化大豆子実の識別」(最終閲覧日:2018/06/27)

こうした研究からも明らかな通り、近赤外分光センサーは、食品産業分野での品質管理の分野を大きく改善させる可能性があるといえます。 さらにコンクリートの劣化物質の検出や、濃度推定を行うという研究もなされており、製造業での導入も期待できます。

【参考】
金田尚志, 石川 幸宏, 魚本健人「近赤外分光イメージングによるコンクリートの分析」(最終閲覧日:2018/06/28)

さらに、近赤外分光センサーは、非破壊であることから医療分野でも用いられています。

【参考】
沢井史穂, 白山正人, 武藤芳照, 宮下充正「近赤外分光法による体脂肪測定」(最終閲覧日:2018/06/28)

また、この論文では「現在の検査方法においては、検査の妥当性・信頼性が高いものは大規模な設備が必要であり、実用性が低いという欠点があり、簡単に測定できる実用性が高いものは妥当性・信頼性が低いという傾向がある」という報告がなされています。 「信頼性の高い結果を得ることができ、なおかつ実用的なセンサー」の登場が、近赤外分光センサーの分野で長い間待ち望まれていました。

小型化・低価格化で実用化へ

製造業・農業・食品産業・医療といった幅広い分野での活躍が期待される、近赤外分光センサー。
ですが、これまでは、研究室の中で閉じられていた技術でした。何故、これほど活躍の場がある近赤外分光センサーが研究室の外へと出られない状態だったのでしょうか。

それは「サイズ」と「コスト」という2つの扉が、彼らを研究室へと閉じ込めていたためです。

一般的に高性能な近赤外分光センサーで用いられる素材は単価が高く、大量生産が求められるIoT用途では不向きでした。しかし、MEMS技術を用いて超小型化することにより、これまでにない低価格が実現できました。

サイズとコスト―2つの扉を開けた近赤外分光センサーは今、IoTという追い風を背に、世界へと羽ばたこうとしています。

IoT×近赤外分光センサーの未来像

近赤外分光センサーのIoT導入が現実の話となった今、導入のポイントは、センサーの活用を現場だけに閉じ込めないことです。

近赤外分光センサーは、幅広い業界における現場での品質管理に有効です。
例えば、プロフェッショナルとしての熟練者の手によって品質を見極めてきた現場に導入することで、品質管理スキルを標準化したり、コスト削減へとつなげるなどの活用が想定されるでしょう。

しかし、IoTデバイスに組み込む場合、この先を見据えなければなりません。
現場レベルだけではなく、大局的に見てデータを活用する仕組みづくりが、これからの時代は必要となってきます。

手元のデバイスに組み込まれたセンサーが、データを収集するといった現場レベルに留まる活用ではなく、センサーから採取したデータを処理・分析・加工し、現場へとフィードバックするような仕組みを整えることで、IoTデータは初めて価値を持つようになります。

仕組みづくりが大切

現場レベルだけでなく、IoTデータによって価値を生み出す仕組みを作ることで、ビジネスの幅を広げるチャンスを獲得できるでしょう。
研究室から近赤外分光センサーが飛び出したように、今度は現場へと導入されたセンサーが、現場から飛び出し、仕組みの一部として動く未来がすぐそこまできています。

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