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IoT化で可能な
食品産業業界の未来を考える

2018.11.02 |  IoT , ハイパースペクトルカメラ , 食品産業分野

今回は、IoTと組み合わせることで、食品産業業界に新しい価値・サービスを生み出す可能性のあるセンサー「ハイパースペクトルカメラ」をご紹介します。

ハイパースペクトルカメラをIoTデバイスに組み込むことで、食品をカメラで撮影するだけで劣化具合がわかる、そんな未来が実現されるかもしれません。

技術の進歩は目覚ましく、時には私たちの想像を凌駕するような技術が生み出されることもあります。今から50年前には、手のひらに乗る小さな機械を操作するだけで、地球の反対側にいる人へ連絡を取ることができる未来など、想像すらできなかったことでしょう。

しかし、現代では、誰もが当たり前のようにスマートフォンを手に情報を発信・受信しています。

スマートフォンの爆発的な普及とともに、人々が簡単にインターネットにアクセスすることが可能になりました。
さらに、人だけでなく「モノがインターネットとつながる時代」が始まろうとしています。

人がインターネットでやり取りをするように、近い将来、IoTデバイスが広まりモノとインターネットが通信する未来が訪れるかもしれません。

そんな近未来に実現されるかもしれない技術について考えていきましょう。

ハイパースペクトルカメラが見抜く食肉の劣化

食品を廃棄するか否か、それを判断する一つの基準として「鮮度」が挙げられます。
もし食品の劣化具合がわかるとしたら「なんとなく」で捨ててしまうのではなく、「このぐらい劣化したから捨てる」という明確な基準を定めることができるのではないでしょうか。

それを可能にするのが「ハイパースペクトルカメラ」です。

写真をご覧ください。

食肉の劣化
食肉のスペクトル

これは食肉が劣化していく様子を通常のカメラで撮影したものです。

上に並べられているのが豚肉、下に配置されているのが牛肉です。

時間が経過するにつれて、鮮やかな赤色から、変化していく様子が見て取れますが、ハイパースペクトルカメラを用いると、牛肉・豚肉の「赤身」と「脂身」の色合いがどのように変化していくかを数値化できます。

特に顕著なのは「豚肉の赤身」です。

豚肉の赤身スペクトル

左の図は上のデータから豚肉の赤身を表す緑色のラインだけを抜き出したものです。
経過時間が0時間の時と、21時間後では、輝度(Brigtness:縦軸)に大きく差が生じています

このように、輝度が落ちていく様子から、段階を経て劣化していく様子が見て取れます。

IoT×ハイパースペクトルカメラの可能性

― いくつかの課題

とはいえ、ハイパースペクトルカメラで食品の劣化を見抜くことを、現場レベルで実践するためには、いくつか課題があります。

例えば、データの標準化です。

例えば「豚肉がどのぐらい劣化しているか」の場合には、「新鮮な豚肉の測定データ」と「劣化した豚肉の測定データ」が必要になります。

様々な豚肉の劣化具合を詳細にデータ化するためには、様々な条件下で豚肉を撮影し、撮影データを蓄積、それらを標準化することで初めてハイパースペクトルカメラで撮影するだけで「豚肉がどのぐらい劣化しているか」を見ることができるようになるのです。

データが標準化され、劣化具合を見抜けるようになったとしても「果たして劣化具合がわかった食品は口に運んでも問題ないのか」という安全面での課題があります。
食品の安全を保障するためには、ハイパースペクトルカメラでわかる「劣化具合」だけでなく、さらに別のデータが必要になるかもしれません。

― IoT化で拓ける未来

そのような多種多様な「劣化」についても、ハイパースペクトルカメラのデータを大量に蓄積することで傾向が見えてくる可能性もあります。
そのためのビッグデータの蓄積には、IoTがキーになるでしょう。

例えば、ハイパースペクトルカメラ単体ではなく、他の情報と上手に組み合わせ、IoT化を実現することで、新しい未来が拓けるかもしれません。

多くのデータが揃うと、それぞれの劣化状況に応じたデータの傾向が見えてきます。
こうした撮影データと「食品の劣化を判断する別のデータ」とを組み合わせることで、劣化具合を正確に予測するだけでなく、食品の安全性を保証するような新しい基準を生み出すことができるかもしれません。

このような技術が実現されることは、遥か先の遠い未来のことに思えるかもしれません。
しかし、冒頭でもお話しした通り、時に技術の進歩は、私たちの想像を超えていきます。

数十年前まで、誰も想像していなかったスマートフォンいう技術を、私たちは手にしています。
スマートフォンに限らず、人類史において「今まで誰も想像していなかった技術」が実現されている例は無数にあります。

もしかしたら、ハイパースペクトルカメラが当たり前のように活用されるような未来が訪れるかもしれません。