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ハイパースペクトルカメラ発展の歴史

2018.10.23 | イメージング分光器, 分光の歴史

分光の歴史

ハイパースペクトルカメラは、非常に多くの波長情報(スペクトル)を獲得することができる分光カメラです。

分光カメラは、光を波長ごとに分けて撮影できるカメラを指します。

例えば、ハイパースペクトルカメラや、マルチスペクトルカメラが分光カメラに該当します。

では、そもそも光を波長ごとに分ける分光分析は、どのように発展してきたのでしょうか。

―分光の始まりは太陽光

時は17世紀に遡ります。

かの有名な科学者アイザック・ニュートン(Issac Newton)は、太陽光がプリズムによって分解されることを発見しました。

現在、私たちは分光された光の帯のことをスペクトル(Spectral)と表現していますが、これはニュートンによって名付けられたものです。

さらに19世紀、ドイツの光学機器製作者兼物理学者のヨゼフ・フォン・フラウンホーファー(Joseph von Fraunhofer)は、精密なプリズム分光器を自ら製作しました。

そして、太陽スペクトルの中に570本以上の暗線を観測しました。 太陽スペクトル中に存在する一連の暗線は、現在では「フラウンホーファー線」と呼ばれています。

ニュートンがスペクトル研究の元祖ならば、フラウンホーファーがスペクトル分析を行なった先駆者であると言えます。

―分光分析の発展

また、分光に関して興味深いつながりがあります。

フラウンホーファー線が、元素の吸収スペクトルであることを明らかにし、分光学を用いることで太陽元素を分析できると示した人物----グスタフ・キルヒホフ(Gustav Kirchhoff)は、ロベルト・ブンゼン(Robert Bunsen)と共に、緻密な分光分析器を製作しました。

キルヒホフとブンゼンによって、分光分析の基礎が作られました。

さらに、彼らが生み出した分光分析法によって、新しい元素が発見されるなど、偉大な功績を残しています。

【参考】
清水榮1992『分光分析の発達と元素の発見』(最終閲覧日:2018年10月2日)

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ハイパースペクトルカメラの発展

19世紀以降も分光分析は発展を続けてきました。

光学や分光分析の分野を開拓してきた偉人たちは、自ら分析器を製作してきましたが、時を経て分光器は、さらに発展を続けています。

分光カメラは位置情報に対応した分光イメージを獲得するカメラですが、大きな枠としてみると分光器の一種であると言えます。

そのためハイパースペクトルカメラは、イメージング分光器(Imaging Spectrometer)とも呼ばれています。

―イメージング分光器の歩み

分光器が発展する過程において、ついにイメージング分光器が誕生します。

最初の走査型イメージング分光器は、1970年代初頭、NASAのジョンソン宇宙センターによって作られたスキャニングイメージング分光放射計(SIS)でした。

当時のハイパースペクトルカメラには、マイクロプロセッサが組み込まれていなかったため、画像処理は大規模な集中コンピュータセンターで実行されていたそうです。

さらに、1980年代にはいくつかの企業がハイパースペクトルカメラ市場へと乗り出しました。 1987年以来、NASAは空中可視/赤外線イメージング分光計AVIRISを運用しています。 以来、多くの民間企業もまた、イメージング分光測定の急速な発展に貢献し始めます。

ですが、1989年には、まだ10以上のスペクトル帯域を扱うことができる市販の画像処理ソフトウェアパッケージは存在しませんでした。

しかし、1990年代に入ると、ボルダーからコロラド大学のSpace from Earth研究センターにて、スペクトル画像処理システム(Spectral Image Processing System:SIPS)と呼ばれるプロトタイプのシステムが開発されました。

また、一般的なコンピューティングプラットフォームに移植可能なハイパースペクトル画像処理ソフトウェアが開発されました。

SIPSは後でENVI(Environment for Visualizing Images)に進化しました。これにより、初心者に近い方も画像を処理することが可能になりました。

―今日のハイパースペクトルカメラ

2000年以降も、ハイパースペクトルカメラの発展は続きます。

今日では、多種多様なメーカーが様々なニーズに応えるハイパースペクトルカメラを販売しています。

これまでイメージング分光器は、軍事用途やリモートセンシングにおいて長年使用されてきました。

しかし、近年は、アプリケーションの幅も広がり、さらにはカメラのコンパクト化によって、産業分野での導入が進んでいます。

現在、ファクトリーオートメーション(FA)やマシンビジョン、さらにIoTが時代のトレンドとなっています。

こうした新しいシステムの中にハイパースペクトルカメラを組み込むことで、より活用の幅が広がることが予想されます。

【参考】
「イメージング分光器の歩み」の中で、参考・引用させていただいております。
van der Meer, Freek D., de Jong, S.M. 編『Imaging Spectrometry: Basic Principles and Prospective Applications』(最終閲覧日:2018年10月2日) Measuring the Earth from Above: 30 years (and Counting) of Hyperspectral Imaging(最終閲覧日:2018年10月2日)

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