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最適な製品(色・視認性)を検討・評価するための光源

2020.06.06 |  波長可変光源 , 製品評価

製品を開発する際は「色の見え」や「視認性」の評価が行われます。

  • 塗装、染色(繊維)化粧品の評価
  • ディスプレイ、ダッシュボード、フィルムの評価
  • カメラのセンサーの評価
  • レンズの評価

色の見えや視認性を評価する際、ポイントとなるのが「光」。
光によって色の見えや視認性が大きく変化します。

今回は、製品の開発時に必要な「色・視認性の評価」と「光」の関係を主軸とした内容です。

おそらく皆様も「光によって印象が変わる」ということは気づいていると思います。
では「色の見え」や「視認性」と光はどのような関係にあるのでしょうか?

当記事では、製品評価のポイントとなる「色や視認性と光の関係」について整理し、製品評価を行う際には「様々な光を用いたテスト」が重要である点について言及していきます。

環境によって印象が変わる

例えば快晴の日に見る海と、曇りの日に見る海は印象が違います。

晴れの日の海と曇りの日の海

晴れた日の海は生命を包み込む活き活きとした輝きに満ちているのに対し、曇りの日の海はまるでサスペンスの舞台のような物々しさや不気味さを感じさせます。
このように環境によって、同じ物でも違う印象を受けます。

これは自然に限った話ではなく、人工物にも同様のことが言えます。

環境によって同じものでも見え方が変わるのです。
だから受け取る印象も違うものになります。

こちらはそれぞれの写真から「海の色」だけ抽出した画像です。
晴れの日と曇りの日では大きく異なっています。

晴れの日の海の色と曇り日の海の色

「海の色」それ自体が晴れや曇りといった環境に左右されます。

海の色が晴れた日と曇りの日で大きく変化するのは「光」が大きく関係しています
そのため色の見えや視認性の評価をする際も「光」がポイントになります。

何故「色の見え」や「視認性」が光によって変わるのか?

光によって「色の見え」や「視認性」が変わるのは、私たちの目が「反射光」を捉えているからです。

照明された物体の色は、照明光がその物体特有な分光的な吸収を受けて反射した光を目で見ることによって知覚される。したがって、同じ物体でも照明光の種類が変われば、反射光の分光分布は変化し、多くの場合色が異なって見える。

渕田隆義「光源の演色性 高品位化光源の最近の動向」より引用(最終閲覧日:2020年3月27日)

色や視認性が光によって左右される理由は、引用の通りですが、やや難解なため簡易化します。

まず「照明された物体の色は、照明光がその物体特有な分光的な吸収を受けて」というくだりですが、こちらは「光が照明から照射され、物体に当たり、私たちの目に届く」その道筋を表しています。

私たちの目に光が届くまでのプロセス図

私たちの目に光が届くまでのプロセス

  1. 照明から光が発せられる。
  2. 物体に光がぶつかる。
  3. 物体にぶつかった光は物体に「吸収」したり「反射」したりする。
  4. 物体に「反射した光」が私たちの目に届く。

3で物体に「吸収された光」は私たちの目に届くことはありません。
4の通り、網膜が受け取るのは物体から反射した「反射光」です。

さて、このプロセスを逆流すると「光によって色の見え方が変わる理由」が明確になります。

私たちの目に届く「反射光」は「物体から反射した光」です。
そして「物体から反射した光」の元を辿ると「照明」に行き着きます

つまり、私たちの目が捉えている光は「照明が発した光」です。

「色」も「光」によって認識されます。(暗い部屋・光のない部屋で色が見えないのはこのためです。)

「色の見え」や「視認性」が光による影響を受けるのはこのためです。
私たちが認識する色はもともと照明の光であり、それが物体に反射して私たちの目に届き、脳が色を認識します。

そのため「青みがかった照明」の部屋では、白い壁が青みがかって見えます。
何故なら白い壁に反射する「光」それ自体に青の要素(青い光の波長)が多く混じっているからです。

また光は視認性にも影響します。
照明の光量が足りないと物体に反射する光が足りないため、私たちの目に届く光も足りなくなります
私たちは光によって物を認識しているため、光が足りない場合、視覚から情報を得られなくなり、その結果物が認識しづらくなるのです。

波長可変光源ページ

照明と色・視認性に関わる研究

実際に、照明によって色や視認性が変化することは研究でも証明されています。

例えばこちらの研究「視認性を向上させる黒板用カラーユニバーサル照明の検討」では「色覚異常の生徒と健常である生徒が共に黒板のチョークを視認できる照明の開発」を目的として、次のような実験が行われました。

波長等が異なる複数の照明(11種類)を用意し、緑の黒板に一般色の「赤チョーク」と「青チョーク」で書いた文字の認識のしやすさが変わるかどうかを被験者に見てもらいました。

実験の詳細

  • 緑の黒板に一般色の「赤チョーク」と「青チョーク」で書いた文字に対して実験を行った。
  • 複数の先行研究を参考に白色光を選定。照度は文部科学省の「学校環境衛生の基準」に基づき500~1000[lx]とした。
  • 基準光を5000Kかつ500[lx]の昼白色LED照明光とした。
  • 被験者には照明によって2色の違いがどの程度分かるかをアンケート形式で記入してもらった。
  • 被験者は石原式色覚異常検査表および色相配列検査(Panel D-15)の検査で2型と判断された3人

白須賀優香, 後河内鉄, 石井通友, 坂東敏博「視認性を向上させる黒板用カラーユニバーサル照明の検討」を参考(最終閲覧日:2020年3月30日)

この条件で実験を行ったところ、被験者にとって視認性が高いと感じられた照明には、600nmの波長が含まれているということが判明しました。

視認性の低かった照明と比較して視認性の高かった照明には600nmに波長が含まれていることが分かった。これによりチョークの視認性の向上に関して有効である波長は600nm 付近ではないかと考えられる。

白須賀優香, 後河内鉄, 石井通友, 坂東敏博「視認性を向上させる黒板用カラーユニバーサル照明の検討」より引用(最終閲覧日:2020年3月30日)

「600nmの波長が混じっている照明」というのは「橙色の混じっている照明」と考えてください。
とはいえ「照明の光の色が橙色」というわけではありません。
あくまで照明の光は「白」でありながら、その中に600nm(私たちに橙色と認識される波長)の光が混じっている状態です。

─ 光が白いのは何故か

「白い光」に「橙色の波長を持つ光」を混ぜても「白い光」のままなのは、そもそも「白い光」が複数の色(波長)を混ぜて作られるからです。

私たちが普段目にする白い照明の光、すなわち「白色光」は様々な色の光が混じり合ってできています。
光の三原色(RGB)が重なると「白」になりますが、これと同様に白色光は赤や青、緑に限らず、様々な色の光が混じり合って白く見えるのです。

光の三原色

光には波長があります。
波長とは、空間を伝わる波(波動)の持つ周期的な長さ、距離を指します。(Wikipedia「波長」を参考)

波長は、平たく言うと「山から山までの距離」のことです。
この距離が短い場合「紫色」に見えますし、長い場合は「赤色」に見えます。

「山から山までの距離」はnm(ナノメートル)で表します。

波長を図解

では「600nm」はどこに当たるのでしょうか?
それがこちらの図です。波長の数値(600nm)と色の関係に着目してください。

スペクトル図

Wikipedia「可視光」を参考に作成

この通り600nmは「橙色」の光を指します。
この600nmの波長を照明の白色光に織り交ぜることで「赤チョーク」と「青チョーク」の視認性が高まるという結果になりました。

こちらの研究からもわかる通り、光(照明)は色や視認性影響を与えます
そのため照明の開発時には、波長レベルでの調整がなされます。

照明開発時に考慮される「演色性」

ここで照明の開発時に考慮されている「演色性」について解説します。

演色性は「製品」ではなく「照明」の開発時に考慮される性質です。

光は「色の見え方」に影響を及ぼします。
私たちは光源によって光を獲得しますが「見え方に影響を及ぼす光源の性質」を「演色性」と呼びます。

演色性(えんしょくせい)とは、ランプなど発光する道具・装置が、ある物体を照らしたときに、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質のこと。

Wikipedia「演色性」より引用(最終閲覧日:2020年3月27日)

演色性は数値として評価できます。
これは国際照明委員会(CIE:Commission internationale de l'éclairage)が定めた規格があり、日本でもこの企画に準拠した規格(光源の演色性評価方法:JIS Z 8726:1990)があります。

演色性は基準光による色の見えを「100」としており、この基準からどれだけずれているかを0〜100の指数(Ri)で表します。

ここで注意して欲しいのは「演色性」は「色の見え方」を表す指標ではないということです。

演色性評価数は色の見えの良さを表すのではなく、基準光の演色性をどれだけ忠実に再現しているかという色再現の忠実性を表す指標である。よって試験光源の下では何色があざやかに見えるのか、またはくすんで見えるのか、どの色相が変化するのかといったずれの方向はわからない。

小谷朋子「LED照明の演色性について」より引用(最終閲覧日:2020年3月27日)

このように演色性はLEDなど照明・光源の評価に用いられますが「製品の評価」には用いられません。

重要なのは「光によって見え方が変わること」それ自体です。

演色性は光源の性質、すなわち「物体を照らしたときに物体の色の見え方に及ぼす性質」です。
言葉の定義が表す通り、光によって見え方は変わるのです。

「照明の開発時」には、演色性に配慮することで、照明ごとに色合いや視認性に差が出ないように工夫されています。

「製品の開発時」も同様のことが言えます。

製品評価は「様々な光」で行う

光が色の見え・視認性に影響を与えるというのは、光が目に届く仕組みや、紹介した研究の内容、演色性など様々な事柄からも明らかです。

これは裏を返せば「様々な光」で「色の見え・視認性」に対する評価を行う必要があるということを意味します。

─ 様々な光とは?

「光」といっても、太陽光や蛍光灯の光といった白色光から、有彩色照明の作り出す光まで様々な光があります。
さらに「色」だけでなく「光の強さ」も製品の評価には欠かせない要素です。

このように、大別すると「波長」と「光の強さ」の2つを軸に光は細分化されます。

  • 波長:光の色
  • 光の強さ:照明の照度や輝度

これは製品評価の際、重要なポイントの一つです。

様々な光の一例として「白色光」について考えてみましょう。

─ 「太陽光」と「蛍光灯の光」は全く違う光!

例えば「太陽光」と「蛍光灯の光」は同じ白い光を指します。
さて上述の通り、白い光は「様々な色(波長)の光が混じり合った光」を指します。

ということは、太陽と蛍光灯は「白い光」を放ちますが「同じ光」ではありません

太陽光と蛍光灯の光は、白い・明るいという点では共通していますが、全く違っています。
これは光を構成している「波長」が異なっているからです。

こちらをご覧ください。

左:太陽光のスペクトル、右:蛍光灯の光のスペクトル

左は「太陽光」の波長情報、右は「蛍光灯の光」の波長情報です。

グラフの形が大きく異なっています。
これは、太陽光と蛍光灯の光の「光を構成する波長が違う」ことを表しています。

つまり太陽光と蛍光灯の光は「全く違う光」なのです。

─ 光の情報を見てみよう!

2つは全く違う光ですが、具体的に、何がどう違うのでしょうか?

端的に言うと「波長」と「強度」が違うのですが、これはグラフを読み解くことで明らかになります。

  • グラフの横軸:波長(色)
  • グラフの縦軸:強度(相対的な光の強度)

横軸「波長」については、上述の「可視光のスペクトル」を思い出してください。
こちらの「虹色の帯」です。

可視光のスペクトル

「600nmの波長は橙色」というように、波長ごとに色が決まっています。
この帯は色と波長の関係を表していますが、これがグラフの横軸にあたります。

縦軸は「光の強度」です。
端的に言うと「明るい光は強度が強い」「暗い光は強度が弱い」この通りですが、横軸と組み合わせて見ることが重要です。

つまりこのグラフは「どの色の光」が「どれくらい強いか」ということを表しています

横軸・縦軸が明確になったところで先の2つのグラフを改めて見てみましょう。

太陽光のスペクトル

太陽光のスペクトル

太陽光のスペクトルは全体的に縦軸に伸びていますよね?
これは「光の強度」が強いことを表しています。

蛍光灯の光のスペクトル

蛍光灯の光のスペクトル

対して蛍光灯の光のスペクトルは「緑」と「橙」が突出しています。
(緑と橙に関して縦軸が高いということは、これら2つの光の強度が強いことを指します。)

つまり2つの光について、次のようなことが言えます。

  • 太陽光:全ての波長が満遍なく含まれている
  • 蛍光灯の光:緑(540nm)、橙(620nm)の光が多く含まれている

太陽光は紫色・赤色に関して強度が弱い箇所(グラフ縦軸が低い箇所)がありますが、460〜660nmに関しては大体満遍なく高い強度の波長が含まれています。

さて、グラフを読み解くことで2つの光の違いが明確になりました。
蛍光灯には緑や橙が多く含まれておりますが、太陽光はこの2つの他にも、様々な色(波長)の光が入っています。

このことから蛍光灯に比べて、太陽光は「波長」も豊富で「強度」も強い光であると言えます。

蛍光灯と太陽光は白い・明るいという点では同じですが、光のスペクトル(先のグラフに表されるような波長・強度の情報)を見るとこれほどまでに大きく異なっているのです。

─ 製品評価を効率化する光源のご紹介

先ほどは太陽光と蛍光灯の光をそれぞれ比べてみましたが、2つを構成する波長は大きく違っていました。

さて、ここまで2つのことが明らかになりました。

2つのポイント

  • 光によって「色の見え」や「視認性」は左右される
  • 一見同じように見える光でも構成する波長は大きく異なっている

室内光だけでも、電球、蛍光灯、LEDと様々な光がありますが、勿論これらはそれぞれ違ったスペクトルを持っています。

つまり製品の評価には、蛍光灯やLEDといった特定の光だけでなく、様々な光(スペクトルの異なる光)で行う必要があるのです。
例えば「蛍光灯」でしか評価されていない場合、「太陽光」の下で見ると色が鮮やかすぎるなど、意図しない結果になる可能性があります。

特定の光だけでなく、様々な光で製品の色や視認性を評価することで「製品が様々な環境に対応できるかどうか」を確認できます。

「光」が異なれば見え方も左右されるため、望んだ色合いから大きくずれて見える、視認性が低下してしまう、といったケースも考えられます。

化粧品の場合、雨天時や蛍光灯の下だとくすんで見える、というような事態は防ぐ必要がありますし、カメラに組み込まれたイメージセンサーの場合、薄暗い部屋といった光の少ない環境でも光・色を正確に受け止める性能が求められます。

様々な光でテストする必要がありますが、わざわざ太陽の下に移動したり、LEDでの見えを確認したりするのは大きな手間です。
こうしたケースでは「自在に光を作り出せる光源」があると色や視認性の評価を効率化できます。

波長可変LED光源 SPECTRA TUNE LAB

色温度も自由自在。光を緻密にコントロールし狙った光を作り出します。

【LED MOTIVE社】波長可変LED光源 SPECTRA TUNE LAB

こちらは「波長可変光源」です。
名前の通り「波長を変えられる光源」です。

普通の照明を思い浮かべてみればわかると思いますが、基本的に「一色」で色が変わることはありません。
しかし波長可変光源は、ソフトウェアでコントロールすることで様々な色の光・波長を含んだ光を作り出せます。

また「光源」だけでなく波長可変「照明」もあります。

波長可変照明 Telelumen Octa™

記録した光のスペクトルデータの再現が可能!ミキサーのように上下させ直感的に光を作り出せます。

【Telelumen社】波長可変照明 Telelumen Octa™

太陽光と蛍光灯の例で見た通り、同じ白い光でもそれを構成する波長は全く異なっていました。このように同じ白い光でも「緑色成分多めの光」や「赤色を抑えた光」を作り出すことができます。

また「昼の太陽光」と「夕方の太陽光(夕日)」もそれぞれ作り出せます。

  • 昼の太陽光:青い波長が強い
  • 夕日:赤色の波長が多く含まれている

光の強弱もつけられるため、波長可変光源を用いることで様々なシーンでのテストが実現します。

TELELUMEN 色評価用ブース

TELELUMENの波長可変光源のテクノロジーを搭載した色評価用ブース。様々な色環境下における評価を実現可能

【Telelumen社】波長可変照明搭載 色評価用ブース

こちらは、Telelumenの波長可変光源を搭載した評価用ブースです。

タングステンや蛍光灯など多くのバリエーションを再現できるのに加えてD50やD65といった国際規格にのっとった標準光にも対応しているため、色に関する評価、品質管理をするのに適しています。

印刷物等の色の見え方は光源によって影響を受けるため、「評価毎のばらつきが少ない安定した環境下での評価」や「異なった複数の条件での視認性がどうかの評価」で本製品が活躍します。


波長可変光源による色の見え・視認性に関する製品評価に関心のある方は「お問い合わせ」よりご相談ください。

世界中の光学機器を取り扱う弊社(ケイエルブイ株式会社)担当者が、ご相談内容を伺い、具体的なご提案をさせていただきます。

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