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最適な照明を検討・評価するための光源

2020.03.27 |  検査照明 , 波長可変光源

今回は「目的に最適化された照明」を作るための「照明の開発」にスポットを当てた内容です。

私たちの身近に溢れる民生用の照明から、製品の検査に用いられる照明、車の照明(ライト)、ディスプレイに並ぶ食品を照らす照明まで幅広い「照明」があります。

それぞれの照明には「目的」があります。
例えばスーパーで食品を照らす照明は「食品をおいしそうに見せる」という目的を達成するように設計されています。

民生用・産業用問わず照明は「用途に適した目的」があります。
では、それぞれの照明にはどのような「要素」が必要なのでしょうか?

当記事では、下記4つの照明に「求められる要素」について、人体の構造など様々な視点を交えながら整理していきます。

  • 検査照明
  • 車の照明
  • 室内照明
  • 食品をおいしそうに見せる照明

それでは、まず「検査照明」から見ていきましょう。

検査照明

目視検査の場合は「見やすさ」が最大の価値となります。

「見やすさ」と関わるのは「輝度」と「グレア」です。

─ 輝度と網膜の仕組み

ガラスやフィルムの傷を目で検査する場合「輝度」が重要になります。

輝度(きど、英: luminance)とは、光源の明るさを表す心理物理量のひとつである。平面状の光源における概念であるため、通常は点光源とみなせるもの(星など)では考慮しない。

Wikipedia「輝度(光学)」より引用(最終閲覧日:2020年3月26日)

薄暗い照明では室内の物が認識しにくくなるのは周知の事実ですが、これは光量が足りないからです。
人間の網膜には「錐体(すいたい)細胞」と「桿体(かんたい)細胞」があり、これらが色と光の認識に関わっています。

薄暗い室内で「色が判然としないものの、大まかな物の形はわかる」という経験があると思います。

これは錐体細胞と桿体細胞の光感受性の違いによるものです。

桿体細胞と錐体細胞
  • 錐体細胞:色情報の識別に働く細胞
  • 桿体細胞:光感受性が強い細胞、色の認識は行わない

桿体細胞は錐体細胞に比べて1000倍も光感受性が高いため、薄暗い室内ではこちらの細胞が光を認識します。
対して、色の識別と関わる「錐体細胞」は光感受性が低いため薄暗い室内では光を受け取れません。

薄暗い室内で「色はわからないものの、形はわかる」のはこのためです。

光感受性の強い「錐体細胞」は物体から反射した光を受け取ります。すると物体の輪郭を捉えられます。
しかし「錐体細胞」は光感受性が低いため薄暗い室内では光に反応できません。
私たちは錐体細胞が受け取る情報によって色を認識しているため、錐体細胞が反応できないと色がわからなくなります。

さて、目視検査で「微細な傷を探す」というケースでは「輝度」が重要です。
私たち人間が色・形を正しく認識するためには網膜に十分な光を届ける必要があります

─ グレアの抑制

他方「強すぎる光」も物の認識を妨げます。
そのため適切な輝度を確保しつつも、一方で「グレア」の防止も検査用の照明には求められます。

グレア(glare、眩輝『げんき』、眩惑『げんわく』)とは、不快感や物の見えづらさを生じさせるような「まぶしさ」のことをいう。ある光の状態がグレアとなりうるか否かは、周辺の総合的な環境と個々人の生理的状態で決まる。光源とその周辺との明るさのバランスや、直接光・間接光の別、視線の方向と光源のなす角度などにも依存する。

Wikipedia「グレア」より引用(最終閲覧日:2020年3月26日)

照明の光それ自体のグレア(直接グレア)や、光が検査対象や机に反射することで生じるグレア(反射グレア)を抑制・軽減することで「検査対象」を認識しやすくなります。

輝度やグレアの他にも照明の設置位置や照明それ自体の大きさ、光の入射角度等、設計時に考慮するべきことは多くあります。
これらも輝度やグレアの場合と同様で「見やすさ」に配慮した設計がなされます。

車の照明

車には、複数の照明が設置されています。
ヘッドライトを始め、テールライト、ブレーキライト、バックライト、ナンバー灯、ウィンカーなどそれぞれ目的に見合った照度や色の照明が必要です。

自動車のランプは、その目的に応じて3つに分けられます。

自動車それぞれの照明の目的

  • 照明灯:自動車の運転を安全かつ容易にするために(主に)進行方向を照らす
  • 表示灯:第三者に対して「自動車の存在」を示し注意を与える
  • 信号灯:第三者に対して「運転者の意思」を示し注意を与える

参考:植木雅哉「自動車用ランプについて」(照明学会誌)(最終閲覧日:2020年3月26日)

ヘッドライトはドライバーの視野を照らし、テールライトなど背面に設置されたライトは、後続車への合図として機能します。

─ ヘッドライトの進歩の経緯

車の照明は「耐久性」が一つの指標になります。

かつて車の照明、ヘッドライトの主流は「ハロゲンランプ」でした。
所謂「電球」です。ガラス内のフィメラントが熱を帯びることで発光します。ほのかな暖色系の光が特徴です。
この光がかつてドライバーたちの夜を照らしていました。

ただし寿命が短く消費電力が大きかったため、徐々にHIDに置き換えられました。
現在のヘッドライトの主流はLEDです。HIDもまた同様の理由でLEDに置き換えられました。
寿命や消費電力など長期間の使用に耐え得る性能が求められるため、照明もまた要件に適う物に置き換わったという経緯があります。

─ 輝度も重要

また自動車の照明には「道路運送車両の保安基準」が定められています。

例えば、第32条の2には次のような記載があります。

走行用前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認できるものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

道路運送車両の保安基準(2019年11月15日現在)第32条前照灯等」より引用(最終閲覧日:2020年3月26日)

このように照明の色・明るさを始め、性能や取り付け位置などが明確に規定されています。

照明灯の目的は「進行方向を照らす」ことですので、ヘッドライトには「視認性」が求められます

人間が視覚によって物を正しく認識するために適度な輝度とグレアの抑制が求められることは、上述の通りです。

検査照明の時も「輝度」が問題になりましたが、こちらはより条件がハードです。
検査照明と異なり車は屋外で使用されます。降雨、降雪、濃霧時にも問題なく機能し、進行方向が照らされなければなりません。

また検査照明の場合は設置位置や角度はある程度自由にカスタマイズできましたが、車の場合は設置位置等、保安基準で定められている範囲内で調整する必要があります。

人命に関わる照明のため、環境条件によって視野が遮られた状況でもドライバーの視界を照らす輝度が求められます。

室内照明

室内照明も目的に応じて様々な要素が求められますが、今回は「人間にとって良い照明」に焦点を当てて見ていきます。

近年、人間中心の照明「ヒューマンセントリックライティング」が注目を浴びています。
ヒューマンセントリックライティング(HCL:human centric lighting)とは、人間の体の特性に合わせた人体に優しい照明を指します。

常に明るい環境にいると体内時計が狂い、生体リズムが崩れるというのは周知の事実ですが、例えば窓のない密閉された環境で長時間働かなければならない場合など、必要に迫られるケースもあります。

─ 事例紹介「職場環境を向上させた照明」

実際に「スペインの製油所」のコントロールルームがそのような環境でした。
ここに人間の生体リズムに合わせた照明(サーカディアンリズムに配慮した照明)を導入することで、従業員の満足度がアップし、職場環境が改善されました。

このケースでは照明によって「太陽光」を再現しました。
朝の光、昼間の光、夕方の光と太陽は1日のうちにその光のスペクトル(波長)を変化させます。

スペインの製油所に導入された照明は、時間帯に合わせて太陽光のスペクトルを模倣します。

太陽光の再現

このように昼間の明るい光から、夕方の暖かみのある光まで一つの照明で再現しています。
これによって自然光の入らない環境にもかかわらず「人間の生体リズムに合わせた空間」が実現しました。

─ 「スペクトル」の調整でより良い照明を

この事例からもわかる通り「人体に優しい室内照明」に求められる要素として「スペクトル(波長)」が大きいと言えるでしょう。

  • オフィス:青みを帯びた光で従業員の集中力を上げる
  • レストラン:温かみのある色彩に調整しリラックスできる空間を演出する

これら照明の開発には「スペクトル」の調整が欠かせません。
照明が最適なスペクトルとなるよう調節することで、人間に様々な効果をもたらす照明を設計できます。

波長可変光源ページ

食品をおいしそうに見せる照明

「おいしそうな野菜が並ぶ様子」を想像してみてください。

色とりどりの野菜が所狭しと陳列されています。
艶やかな赤色、フレッシュな緑色。他にも白や紫、オレンジと様々な色彩の野菜があります。

さて、あなたの想像する「おいしそうな野菜」は、どれも「色鮮やか」ではありませんでしたか?

皆様のご想像通り、新鮮でおいしそうな野菜は「鮮やかな色」をしています。
裏を返せば、野菜を色鮮やかに照らす照明があれば「おいしそうに見せる」ことが可能なのです。

鮮やかな野菜の写真・鮮やかではない野菜の写真の比較画像

「鮮度」は照明によって演出できます。
トマトを鮮やかな赤色に見せることで瑞々しさを演出できますし、ナスの艶やカボチャの硬さといった「質感」も照明によって浮かび上がり食品の魅力を際立たせます。
野菜に限らず肉や魚の場合も同様です。

食品が色鮮やかに見えると「鮮度の高いおいしそうな食品」という印象を抱きます。
では、食品の色を際立たせる照明に必要な要素は何でしょうか?

─ 余分な波長をカットする

一つは「余分な波長(色)を取り除くこと」です。

人間は網膜で光を受け止め、さらに2つの細胞(錐体細胞、桿体細胞)で光を認識しています。
そして「網膜に届く光」は「反射光」です。

物体は光を吸収したり、反射したりします。
この物体から反射した光(反射光)を私たちは認識しています。

例えば、リンゴが赤いのは「赤い光」を反射しているからです。

リンゴの赤色を認識するプロセス

リンゴはこの中でも「赤い光」を反射します。
これは照明の白い光(様々な色が混じり合う光)の中でも、赤以外の光を吸収しているからです。

リンゴが反射した赤い光は私たちの目に届き、網膜によって光情報が電気信号に変換され脳に到達することで「赤」と認識されます。

色は「反射光」によって作り出されます。
そのため「照明」に求められるの要素として重要な点は「無駄な反射光」を生み出さないことです。

図の通り、リンゴに反射する光は、元々「照明の光」です。
つまり余分な反射光をカットするためには、そもそも「余分な波長の光」を照明に混ぜないことが重要です。

これは「白色光のスペクトル成分の調整」を意味します。

白い光は様々な色(スペクトル)が混ざり合ってできています。

わかりやすいのは「光の三原色(RGB)」です。赤(Red)、青(Blue)、緑(Green)の3色が重なり合う中心部の色合いは「白」になります。
このように照明の白い光は赤や青、緑に限らず、様々な色の光が混じり合って白く見えるのです。

光の三原色

食品を照らす場合も様々な色の光を混ぜて、食品を鮮やかに見せるための「白い光」を放つ照明を作ります。
ここに「余分な色」が混ざっている場合、野菜がくすんで見えます。

余分な色が「反射光」となって目に届くことで、反射光に不必要な色が混じり、脳が余分な色も「食品の色」として認識してしまいます。

余分な波長の光がノイズとなって、くすみや黄ばみにつながるのです。
認識時のノイズとなる反射光を無くしていくには、照明のスペクトル(波長)を厳密に調整し、反射光に余分な色彩が混じらないようにする必要があります。

このように「食品がくすんで見える」、「黄ばんで見える」といった課題の解消には、ノイズとなっているスペクトル(波長)のカットが有効です。

─ 必要な波長を付け足す

一方、LEDの光では「食肉の色が綺麗に見えない」というケースもあります。
この場合「照明の赤色光」の割合を増やすという調整で対応できます。

上述の通り、白い光は様々な色が混じり合ってできています。
「食品のくすみ」は、くすみを生じさせている「余分な色」を取り除くという対応でしたが、今度は「色を追加する」ことで食肉を鮮やかに見せるのです。

具体的には次の通りです。

白色光に含まれる赤が少ない場合

白色光に含まれる赤が少ない場合の食肉の色合い

白色光に含まれる赤色光の割合が少ないと、食肉の赤みをうまく反射できません。
私たちの目は「物体から反射した光」を認識しているため、食肉を照らす照明の「赤色の含有量」が少ないと「食肉から反射し私たちの目に届く光」にも当然、赤色は少なくなります

この対応策が照明に混ぜる「赤色の波長の割合を増やす」ということ。

赤い波長を足した場合のイメージ図をご覧ください。

白色光に含まれる赤を足した場合

白色光に含まれる赤を足した場合の食肉の色合い

照明の白色光に赤を足すことによって、食肉にも「照明の赤色の光」が反射し、私たちの目にも「赤色が多く混じった反射光」が届き、食肉の色が鮮やかに際立ちます。

ポイントとしては白色光に「赤い波長」を追加しても照明の光の色は白であるという点です。
上述の通り「白色光は色が混ざった光」のため赤い波長を足しても光の色は白いままです。

─ 輝度について

また「輝度」も重要な要素です。

例えば青空の下で見る野菜は色鮮やかというだけでなく、光沢があり、立体的です。
これは「太陽光」の為せる技でしょう。太陽光が「自然の照明」として機能しているからこそ、野菜が一段とおいしそうに見えます。

野菜の色艶を際立たせる上では、ある程度の明るさが求められますが、強すぎる光は認識の妨げになるだけでなく、野菜や肉、魚などの凹凸を消し去ります。
それぞれの食品が持つ質感が失われ、平面的に見えます。

食品を「おいしそうに見せる」ためには以下の要素を調整する必要があります。

  • 色合い:スペクトルの調整
  • 質感・立体感:輝度の調整

つまり、適切な「スペクトル」と「輝度」が生鮮食品を照らす照明に求められる要素と言えるでしょう。

照明の開発には「光源」が必要

これまで様々な照明に「必要な要素」を整理してきました。
照明開発の際は、目的を達成できるようにそれらを細やかに調整していきます。

輝度によって私たちの目が受け止める光の量を調整したり、スペクトルによって色味を調整したり、また輝度や照明の設置位置によってグレアを抑制したりします。

このように「目的を達成する照明」を開発する際には、照度、色温度、演色性、スペクトル、色度点など様々な要素を最適化します。
実際に「想定する光」を作り出し、テストを繰り返すという方法が最短でしょう。

では、どうやって「想定する光」を作り出すのでしょうか?

その答えがこちら「波長可変光源」です。

波長可変LED光源 SPECTRA TUNE LAB

独自技術により生み出された分光放射計を内蔵!「高い安定性」と「分光精度」によって自在に光を作り出します。

【LED MOTIVE社】波長可変LED光源 SPECTRA TUNE LAB

「波長可変光源」とは名前の通り「波長を変えられる光源」です。

製品は専用ソフトウェアで各波長の値を調整することで、光を細かく調整することができます。

波長可変照明 Telelumen Octa™

色だけではなく輝度の調整も可能!最大2,500ルーメンの照明を提供する波長可変照明。

【Telelumen社】波長可変照明 Telelumen Octa™

これらは実際に照明開発の現場で使用されています。

つまり波長可変光源によって「望む光」を作り出し、その光が用途に敵う光かどうかをテストして確かめることができるのです。

波長可変光源があるメリット

  • 実際に光を「見て」判断できる。
  • 数値で光を制御できるため「色」や「輝度」をコントロールできる。

テスト時に「想定する光を自在に作り出す光源」があれば開発効率が上がります。
実際に想定された環境で機能するかどうかを「目視で判断できる」からです。

波長可変光源は「光を作り出す」ことに特化しています。
数値でスペクトル(光の波長)を制御できるため、厳密に「色」や「光の強さ」の調整が可能です。

波長可変光源を使用すれば、様々な波長スペクトルをお試しいただけます。
目的を達成できる波長を「目視」で確認し、具体的な「数値」で記録できます。あとは、記録した値と同じ波長を、LED等で再現することで理想的な光源を開発できます。

ケイエルブイ株式会社には、上記以外にも「照明の開発」に適した波長可変光源を多数取り扱っております。

製品一覧表はこちらよりPDFをダウンロードしてご覧ください。


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