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IoTが食品産業を救う?
IoTが食品産業の課題を解決

2018.07.05 | IoT, 農業, 食品産業

毎日、私たちの口に入る食事は、どのようなプロセスを経て、食卓に並ぶのでしょうか。
今回は、農業、食品産業の現状を見つめ直し、IoTがどのようなソリューションを提示できるのか考えていきます。

食品産業の現状

農業、食品産業そのものが危機的状況にあります。

世界の人口は、2017年に75億人を突破しました。さらに、10年後には80億人を超えるとの予測がなされています。人口増加の影響を受け、資源不足がしきりに叫ばれています。
食料資源もそのひとつです。現在の生産力では、すべての人々に食料が行き届かない時代が来るでしょう。

世界のこうした動きに対し、日本では、人口の増加に関しては、それほど大きな問題にはなりません。 というのも、今後、日本の人口は減り続けていくという予測がなされているからです。

しかし、食に関してのニュースは尽きません。
数年に一度、食品の問題はニュースになります。
産地の偽造や、賞味期限の切れた食材や残飯の使用など、大小さまざまな問題が取り上げられますが、こうした背景には、食品製造業者に対する厳しい要求があります。消費者の要求、そしてこれに応えようとする小売店の要求です。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、消費者の需要を汲み取り、食品を安く、安定的に供給するよう、食品製造業者へと求めますが、時としてこうした要求が圧力となります。応えられない要求に応じた結果、ニュースに取り上げられるような偽造問題へとつながるのです。

農林水産省の食品産業局の「食品製造業における働き方の現状と課題について」(平成30年)という資料によると「食品製造業の欠員率は製造業全体と比べて2倍以上高い」というデータが出ています。

このように、日本では 「品質管理」と「労働者の確保」が大きな課題 となっています。
さらに、近年、食品製造業の労働生産性は停滞していることも、注目すべき問題です。

農林水産省の「食品産業動態調査(平成29年度版)」では、次のように述べられています。

近年、食品製造業の労働生産性は総じて低迷しているといえる。この要因として、原材料調達コストや物流コストの増加があげられる。特に輸入食料品や国産農林水産物の不作・不漁など供給不安定な状況が続いている。
一方、食品小売業や外食産業等の需要においては価格競争の激化から、販売単価や売上数量の低迷が課題となっている。

― 食品産業動態調査(平成29年度版)より引用

また、同調査において「食品製造業の労働生産性は、総じて、従業員規模が大きいほど高い」という結果が報告されています。
つまり、従業員数の多い資本力のある企業ほど、労働生産性が高く、小さな企業は厳しい状況に置かれているのです。

労働者が不足しているだけでなく、労働生産性も停滞しているのが、食品製造業における現状です。

食品業界の問題とIoT

「品質管理」と「労働者の確保」は、分離した問題ではありません。

労働者が十分に確保されていないため、食品の管理に手が回らず、その結果、品質が悪化するというように、両者は関連した問題なのです。労働者の確保がままならない場合、一人当たりの労働生産性を向上させることで対応するしかありません。

IoTはこうした課題に対し、どのような解決策を見出すのでしょうか。

食品品質の確保は、食品製造の最初の段階から、消費者の手に届くまで続いています。
生産段階では、どのような解決策が考えられるでしょうか。

例えば、IoTを導入することで、食物の品質を継続的にモニタリングすることができるでしょう。

製造業では「スマートファクトリー」が始まっています。 スマートファクトリーとは、工場全体にIoTの設備・機器を導入することによって、ラインの稼働状況の「見える化」とデータの蓄積を行い、最大の利益を上げるという革新的な工場です。

スマートファクトリーと同様に、農業においては「スマート農業(Smart Farm)」という考え方があります。
スマートファクトリーでは、工場全体の機器をIoT化し稼働状況を監視するのに対し、スマート農業では、ビニールハウスなどの栽培施設の温度・湿度といった情報を可視化します。こうした情報をモニタリングするだけでなく、端末を通して施設内を制御することができます。
このように、食物にとって最適な環境を実現した環境が、スマート農業なのです。

生産現場の環境管理は、生産者たちにとって大きな課題となっています。

養鶏場を例にとって考えてみましょう。

養鶏農家は、鶏を育てるために、成長に応じて室温を30度前後に保ち、暑いときは換気をして空気を入れ替える必要があります。
あまり鶏舎が熱くなりすぎると、鶏の体温が上がり、ストレスになるからです。鶏は繊細な生き物のため、大きなストレスは命に関わる問題なのです。そのため、養鶏農家たちは、温度調節や、水分補給、換気によって適切な環境を保つ必要があります。

養鶏場にIoTを導入することで、彼らの負担を大きく減らせるでしょう。
養鶏農家の代わりに、IoT機器が鶏舎の環境を見守ります。IoT機器が温度や湿度を測定、これを養鶏農家のスマートフォンへと送信することで、彼らは鶏舎の状態をアプリで監視することができるのです。さらに、鶏舎に異常が発生した場合には、通知を出すといった機能も考えられるでしょう。

IoTの素晴らしいところは、こうしたデータを蓄積できることです。日々、鶏舎を監視するだけならば、遠隔監視用の通知機器などを設置するだけで事足りるでしょう。しかし、IoTは日々の鶏舎の温度・湿度といったデータを測定し、インターネット経由でデータベースへと蓄積していきます。 養鶏農家は、こうしたデータを分析することで「鶏にとってベストな温度・湿度」を割り出すことが可能になります。

データ分析により、無駄なコストがかかっていた箇所を削る、といった改善策を練ることで、コストカットや利益の拡大を測れるでしょう。

IoTによる食品産業の好循環

またIoTは生産現場だけでなく、小売店でも活用できます。

IoT機器によって、食品の劣化状況を測定することで「どの食品が、どのぐらいの期間で、どの程度劣化するか」といった情報を可視化できるため、コストカットや、無駄な食料廃棄を減らすことにもつながるでしょう。

IoTの導入により、さまざまな課題を解決できます。

今回は生産現場にフォーカスした解決策を提示しましたが、こうした取り組みは、品質の向上へとつながっていくと考えられます。品質測定に重点を置き、より綿密なモニタリングを行うといった導入案も考えられます。
IoTは「どういった目的を達成するために導入するのか」によって、活用法は無限に考えられるのです。

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