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KLV大学 光源コース

ハロゲンランプの特徴・種類・アプリケーションを解説

光源として、様々なところで利用されているハロゲンランプについて、その構造、特徴、用途や今後について紹介していきます。

ハロゲンランプの構造

ハロゲンランプは白熱電球の一種で、タングステンを使ったフィラメント(抵抗)に電流を流すことで発熱させ、〜3000度の高い温度によって黒体放射による光を放つ電球です。

ハロゲンランプの構造は白熱電球の構造に似ていますがバルブ内部に、不活性ガスに加えてハロゲンガスが封入されている部分が異なります。

ハロゲンランプの名称と温度条件

そして、不活性ガスとハロゲンガスが封入されたバルブの気密性を保ちつつ電気を供給するのが「封止部にあるモリブ箔」と「口金のピン」であり、両方ともモリブデンで作られています。

ハロゲンランプに封入されるハロゲンガスとは

ハロゲンは、周期表の17族に属する元素である、”フッ素”、”塩素”、”臭素”、”ヨウ素”、”アスタチン”の5元素です。ハロゲンガスは、これらの元素の気化した状態のものですが、”フッ素”、”塩素”は常温で気体であるのに対し、”臭素”は液体、”ヨウ素”は固体です。

ハロゲンランプが開発された初期は、”ヨウ素”が使用されていましたが、現在は、”ヨウ素”、”臭素”、”塩素”の化合物が使用されています。
”臭素”や塩素”などの原子量が小さい原子の方が”ヨウ素”よりも活性度が高く、後述するハロゲンサイクルの効果も高くなります。

ハロゲンランプの波長特性

ハロゲンランプの波長特性は、フィラメントの温度に依存し、ほぼその温度に対応した黒体放射スペクトルを示します。そして、温度が高い方がより、白っぽく明るい光となります。

波長特性は、以下に示すように非常に幅広いのが特徴です。白っぽい光ということからもわかるように、可視波長に対して幅広く強度があるとともに、近赤外から中赤外においても強度を持ちます。ただし、一方で紫外域では、あまり強度がありません。
最も強度があるのはおおよそ900nmで、中赤外の3500nmまで徐々に強度が減衰します。

ハロゲンランプの波長特性(光源スペクトル)

ハロゲンランプの波長特性(光源スペクトル)

ハロゲンランプの特徴

ハロゲンランプの特徴①長寿命

白熱電球は、フィラメントであるタングステンが使用時間に応じて蒸発して細くなっていくと同時に、蒸発したタングステンがバルブと呼ばれるガラス面に付着して黒化し、照度が低下してしまいます。

これに対してハロゲンランプは、蒸発したタングステンがバルブ内に添加したハロゲンガスによるハロゲンサイクルによってタングステンフィラメントに戻るので、白熱電球に対して長寿命化を実現しています。

ハロゲンランプの長寿命を実現するハロゲンサイクルとは

ハロゲンランプでは、蒸発したしたタングステン(W)が添加されたハロゲンガス(X)と化合し、ハロゲン化タングステン(WX2)となります。

化学式:W + 2X → WX2

ハロゲン化タングステン(WX2)は気化したタングステンとは異なりバルブのガラス面への付着せず、気体のままバルブ内に滞留するようになります。そのため白熱電球の際に問題となるバルブの黒化を抑えることができます。
そして、このハロゲン化タングステン(WX2)はフィラメントに近づいた際にフィラメントから発せられる熱によって、ハロゲンガス(X)とタングステン(W)に分解れ、タングステン(W)は再びフィラメントに戻ります。
この、フィラメントから失われたタングステンが再びフィラメントに戻る反応をハロゲンサイクルと呼びます。

化学式:WX2 → W + 2X

ハロゲンサイクルのモデル

図:ハロゲンサイクルのモデル

ハロゲンサイクルを実現する重要な点は、バルブ内を高温に保つ必要がある点です。ハロゲンガスにヨウ素を使う場合には170°C以上、臭素を使う場合には250°C以上の温度が必要です。そのため、高温に耐えられるバルブや口金を用意する必要があります。

ハロゲンランプの寿命の定義

ランプの寿命の定義にはいくつかありますが、ハロゲンランプの場合には、多数のランプを長時間点灯させた際の残存率が50%となる時間を定格寿命として設定するのが一般的です。
つまり、ランプの個体差がありますので、定格寿命よりも短い寿命のランプもあるという点に注意が必要です。

寿命は電圧によっても左右され、一般的に低めの電圧で運用すると長寿命に、高めの電圧だと短寿命となります。

ハロゲンランプの特徴②輝度が高い

ハロゲンランプは、一般的な白熱電球よりも耐熱に優れており、温度を高めることができるため、高い電圧をかけて高い輝度を実現することができます。

また、前述したハロゲンサイクルにより、ガラスの表面に気化したタングステンが付着する黒化が発生しにくいため輝度の減衰が抑えられ、高い輝度を維持することが可能です。

ハロゲンランプの特徴②耐熱・耐衝撃性が高い

ハロゲンランプは、高温に対応できるようにバルブに石英ガラスを使用します。石英ガラスは、石英から作成されるガラスで、非常に耐熱、耐衝撃性に優れたガラスで透明度も高いことが特徴です。

耐熱性に関しては、熱膨張も非常に小さいため、急激な温度の変化に対しても耐性があります。

ハロゲンランプの使用用途

ハロゲンランプは、白熱電球と比較すると、取り扱いの難しい、コストが高いなどのデメリットもありますが、前述した特徴から様々な場所で利用されています。

照明用光源

ハロゲンランプが使われるのは高い照度が要求される場所で、商品棚のスポットライト、車のヘッドライト、演劇ステージのライトなど多岐に渡ります。
キセノンランプもハロゲンランプと同様に高い照度を誇っているのですが、スペクトルが青色に寄ってしまうため、前述したアプリケーションでは演色性の観点からハロゲンランプが多く選択されます。

ハロゲンランプ用途_照明用光源

ただし、照明としての用途は、LED光源の普及によって、見る機会は徐々に減りつつあります。

投影機

学校等で使用されていたOHPやスライドの投影機の光源としてもハロゲンランプが使われていました。
また、小型のプラネタリウムの光源としても、ハロゲンランプが使われていました。

現在では、投影機用としてはLED、プラネタリウム用ではレーザー光源が使われることが多くなってきています。

ハロゲンランプ用途_照明用光源

分光分析用光源

分光分析用の光源としては、”幅広い波長帯で一定以上の明るさがある”、”時間的に安定している”という特徴からハロゲンランプがよく使用されます。

LED光源が使用されることも出てきていますが、幅広い波長帯を幅広くカバーするには複数のLEDを用いる必要があるためハロゲンランプの方が安価で扱いやすいというのが現状です。

ハロゲンランプ用途_照明用光源

ヒーター

もう一つ、光源と異なる使用方法として、光源ではデメリットとなっている熱を有効活用があります。
ハロゲンヒーターや、オーブンなどの小型の調理器具として利用されます。

ハロゲンランプ用途_照明用光源

ハロゲンランプの今後と代替光源

ハロゲンランプは安価で高い輝度と演色性を持っているため、様々な場面で利用されてきました。
ただし、寿命が長く、エネルギー効率の高いLED光源の普及によって、ハロゲンランプを見る機会は少しずつ少なくなっています。

また、海外ではLED化の流れを後押しする政策を打ち出す国もあります。
英国では、2018年から高エネルギーのハロゲン電球の販売を段階的に減らしており、2023年には、販売する電球の85%をLEDにするという目標が示されています。

このような背景のもと、主に照明用途や投影機の用途でLEDランプが急速に浸透してきています。

一方、”照度”、”演色性”の観点では、ハロゲンランプがまだ優勢で、分光分析など”照度”と”演色性”が必要な用途では、まだまだハロゲンランプが使用される場面も多くあります。
例えば、”照度”を高めるためにミラーを追加したハロゲンランプの輝度に、LED照明が追いつくには電圧を高める必要があり、冷却システムなどを含めた環境が必要になりコストが高くなってしまう問いう問題があります。
また、演色性に関しても、8色の試験色を用いた平均演色評価数(Ra)での評価では、ハロゲンが100であるのに対し、一般的なLEDランプ光源は70~80程度でまだ、ハロゲンには及びません。

このように、部分的にはハロゲンランプの用途は残っているものの、LED光源の開発による性能向上やコスト削減で、徐々にLED等に置き換わっていく場面が多くなっていくと考えられます。

ハロゲンランプの代替光源(優れた光源)

ハロゲンランプと同様に広い波長範囲をカバーできて高輝度
レーザー励起白色光源

放電を利用するキセノンランプの安定性に欠けるという弱点を、レーザー励起で安定させるという新しいタイプの光源です。

レーザ光での励起は安定性意外にも発光点が小さく輝度が高いという特徴を持つため、分光分析に最適です。

レーザー励起白色光源XWS-65

レーザー励起白色光源

レーザー励起白色光源”XWS-65”は、一般的に高出力が難しい深紫外の190nmから、可視光、さらに近赤外線の2500nmまでの広い波長域を持っており、更にこれらの波長を高輝度で、安定して出力することができます。

製品詳細

本当の意味でのソーラーシミュレーター、太陽光の時間変化をも再現
波長可変光源

複数のLEDを搭載することで、ハロゲンランプと同様に高い演色性を出すことができます。
また、複数のLEDの出力を個別に制御することで、様々な波長特性を作り出すことが可能で、1日の太陽の波長変化を再現することもできます。

物体は当てられる光によって見え方が変わるため、ディスプレイや表示板の視認性などは、様々な環境下で評価されることが望ましく、そのような場面でも波長可変光源が活躍します。

波長可変照明 Telelumen Octa™

波長可変光源

蛍光灯のように天井に設置するタイプ、スポットライトタイプ、ブースタイプと複数のラインナップを取り揃えています。
用途や予算に応じて最適な1台をご紹介しますので、お問い合わせください。

製品一覧

波長帯域の問題を複数LEDで克服。可視〜近赤外をバランスよく出力することが可能
分光分析向けLED照明 

LEDは単体では広い波長帯域で連続的なスペクトルを出力することができないため、複数波長のLEDを組み合わせることでハロゲンランプと同じような400〜900nmの広波長帯域を実現します。
LEDが持つ、長寿命、低発熱というメリットを生かしながら、スペクトルの均一性やコストなどのデメリットを克服しています。

LEDは配置の自由度が高いため、バー型、リング型、プロジェクター型照明と用途に応じて最適なものをお選びいただけます。

ハイパースペクトルカメラ用LED照明

ハイパースペクトルイメージング用LED照明 HSI Range

可視~近赤外の波長範囲に対応したハイパースペクトルイメージングおよびマルチスペクトルイメージングなどの分光分析アプリケーションに適したLED照明です。

製品詳細

光源コース

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