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【図解】レーザーダイオード(半導体レーザー)とは (特徴と選び方)

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半導体レーザーとは、半導体を素材としてつくられた回路素子です。
電流を流すことでレーザーを発生させることができ、レーザーダイオードとも呼ばれています。

光通信や医療、加工技術など幅広い用途でつかわれている半導体レーザーですが、

「どんな仕組みになっているのか?」
「どのような特徴があるのか?」
「自社の用途に合った製品はどれか?」
「どのように導入し、活用すれば良いのか?」

このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

ここでは、半導体レーザーの仕組みや特徴、種類や応用方法について、図解でわかりやすく解説しています。
ひと通り読んでいただくことで、半導体レーザーについての理解が深まり、半導体レーザーの導入や応用を検討するにあたり浮かぶ疑問がすべて解決するので、ぜひご一読ください。

また、「そもそもレーザーってどんなもの?」ということが気になる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。

半導体レーザーとは?基本的な構造と発光のしくみ

半導体レーザーは、「活性層」と呼ばれる層が、n型とp型の半導体に挟まれているサンドイッチ型の構造です。

このn型とp型の半導体は「クラッド層」と呼ばれていて、n型はマイナス、p型はプラスの電気的な性質を持っています。

このようなサンドイッチ型の構造は、「ダブルヘテロ構造」と呼ばれていて、このダブルヘテロ構造がn型基盤の上にくっついています。

図で表すとこのような構造です。

01_LD.png

半導体レーザーは、電気を流すことによってレーザー発振します。

n型クラッド層はマイナス、p型クラッド層はプラスとなるよう電気を繋ぐと、n型クラッド層からは電子が、p型クラッド層からは正孔(ホール)活性層に向かって流れ込みます。

正孔は、電子で満たされているべみ価電子帯の電子が不足している状態です。
そのため、正孔は活性層で電子と出会うことで結びつきます。(再結合)

n型クラッド層から流れ込む電子は、高いエネルギーを持っていますが、再結合が起こるとそのエネルギーは失われ、失われたエネルギーは光に変換されます。

02_LD.png

このときのn型クラッド層からきた電子のエネルギーと、再結合によって放出されたエネルギーとの差は「エネルギーギャップ」と言われています。
ギャップというのは差という意味なので、そのままですね。

そのエネルギーギャップによって、光の波長が変化します。
この波長の変化を利用して、半導体レーザーによって生み出される光を様々な用途につかいわけるんです。

このような原理で光を発生させるのが半導体レーザーのしくみですが、半導体レーザーの最大の特徴はここからです。

半導体レーザーの誘導放出

いちど再結合が起こると、その時に発生した光が引き金となり、別の電子もどんどん再結合されていきます。
この現象は「誘導放出」と呼ばれていて、なんと誘導放出によって発生した光は、最初に再結合で発生した光と、ぴったり同じ位相を持った波長の光になるんです。

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この誘導放出の原理を利用して、位相の整った強い光を生み出すことができるのが半導体レーザーの最大の特徴と言えるでしょう。

活性層の端面はミラーのような役割を果たすので、活性層内で発生した光は、ある程度の強さになるまでは活性層内で繰り返し反射され、誘導放出によって増幅されていきます。

やがて光が十分に増幅され、一定以上の強さになると、活性層からレーザー発振が起こるというわけです。

半導体レーザーの特徴や光の波長・色について

半導体レーザーの特徴としてあげられるのは、以下の特徴です。

・小型である

・低い電圧と少ない電流で発光できる

・変換効率が高い

・様々な波長の光を発生させられる

・干渉性が高いのが特徴

ほかに光を発生させるものとして、白熱電球やLED(発光ダイオード)があげられます。

白熱電球は、電気をいちど熱エネルギーの変換することで光を発生させていますが、半導体レーザーやLED(発光ダイオード)は、電気から直接光を発生させているという点で、根本的に違いますね。

このように、白熱電球と違って半導体レーザーは電気を直接光に変えることができるため、小型かつ低電圧で稼働し、変換効率が良くなるんです。

LED(発光ダイオード)との比較

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電気から直接光を発生させている点で、半導体レーザーとLED(発光ダイオード)は共通しています。
また、LEDも半導体を用いた回路素子なので、非常によく似ていますね。

しかし、半導体レーザーとLEDとの最も大きな違いは、誘導放出の有無です。 半導体レーザーは、誘導放出によって位相の整った強い光を生み出すことができるのが特徴です。

その結果、LEDの光は波長や位相にバラつきがありますが、半導体レーザーの光は位相の揃った指向性の高い光で、制御されやすいエネルギーとなります。

光の出力方向にも違いがあり、LEDの光がある程度の広がりを持っているのに対して半導体レーザーは細いビーム状に発光します。

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このような性質の違いがあるので、LEDは主に照明用として使われるのに対し、半導体レーザーは様々な用途に使われているんです。

半導体レーザーの波長と色の関係

半導体レーザーによって発生される光は、エネルギーギャップにより波長が変化するとお話ししましたが、エネルギーギャップは半導体レーザーにつかわれている半導体材料や半導体基板によって決まります。

半導体材料

半導体基板

区分

波長帯(nm)

InGaN

GaN

紫外〜緑色

380〜540

AIGaInP

GaAs

赤色

620〜700

InGaAsP

GaAs

赤〜近赤外

650〜750

AIGaAs

GaAs

近赤外

760〜860

InGaAsP

InP

赤外

1,300〜1,550

光の波長が物体にあたって反射し、それを人が目で受け取ることで、わたしたちはその波長を物体の「色」として認識しています。

半導体レーザーは、様々な波長の光をレーザー発振することができるので、この波長帯によって光が目に見えたり見えなかったり、色が違ったりします。

ちなみに、人間の目で見える波長の範囲は「可視光線」とよばれています。

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半導体レーザーは様々な用途に使われていますが、この波長を変えることで使い分けられているんです。

半導体レーザーの用途や応用のされかた

半導体レーザーは、非常に多くの用途に使われています。
その用途を分類すると、以下の9つに分類できます。

1.読み込み
 CDやDVD、BDの読み込みなど

2.記録
 CDやDVD、BDへの記録など

3.加工
 材料の切断など

4.医療
 レーザー治療など

5.感光
 複合機やレーザープリンターなど

6.通信
 光通信など

7.照明や照射
 レーザー顕微鏡やプロジェクターなど

8.測定
 レーザー開発や道路・車間距離測定(LiDAR)、建造物の高さ測定など

9.感知
 ガスセンシングやダスト管理、光スイッチ、マウスなど

このように、多くの用途に使われる半導体レーザーですが、用途が幅広いがゆえに、
自社の用途にあった波長やタイプの半導体レーザーが何なのか、わかりづらく感じてしまうかもしれません。

ここからは、半導体レーザーの波長ごとに、どのような用途が適しているか、解説してきます。

半導体レーザーの波長や色ごとの用途

波長帯(nm)

区分

用途

450〜635

青色〜赤色

照明など

400〜800

青紫色〜赤外

記録/読み込み/感光/測定など

800〜980

赤外

感知/通信/医療/加工/測定など

1300〜1600

赤外

長距離光通信

450nm帯、530nm帯、635nm帯の波長の光は、それぞれ青、緑、赤と光の3原色の波長となっています。そのため、プロジェクターや照明に利用されています。

400〜800nm帯の波長のレーザーは、光の集光性に優れているため、光ディスクへの記録や読み込み、複合機やレーザープリンタなどの感光、レーザー開発のための測定など多くの用途に利用されています。

800nm帯を超える波長のレーザーは、近赤外波長となり目に見えない光になります。
車間距離を測定するLiDAR、センサーなどの感知、光通信などに利用され、高出力のものは医療や材料加工などに利用されます。

1300nm〜1600nmの波長のレーザーは、伝送損失が小さく済むので、長距離光通信の光源として利用されます。

光通信に用いられる半導体レーザー技術

光通信には、主に2タイプの半導体レーザーが使い分けられています。
それがFBレーザーとDFBレーザーです。

FBレーザー

FBレーザー(ファブリペロー型半導体レーザー)は最もシンプルな構造の半導体レーザーで、光通信以外にも多くの用途に使われている代表的な半導体レーザーです。
前項で解説した半導体レーザーのしくみそのままの構造になっていて、活性層での誘導放出からレーザー発振するしくみになっています。

位相と波長のそろった発光ができるのが特徴の半導体レーザーですが、実はある程度、複数の波長でレーザー発振されているんです。

これを光通信で用いると、短距離通信では特に問題ありませんが、長距離通信になると信号波形が広がってしまい、エラーが発生します。

DFBレーザー

長距離の光通信には適さないFBレーザーに対し、DFBレーザーは1つの波長のみレーザー発振することができるので、長距離・高速の光通信にも適しています。

DFBレーザーの構造は、FPレーザーの構造と少し異なり、n型クラッド層がギザギザにカットされているんです。

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このギザギザは「回折格子」と呼ばれていて、この回折格子に光があたると、このギザギザ幅のちょうど2倍にあたる幅の波長になります。

これによって、単一の波長の光みが増幅されていき、レーザー発振することができるんです。

半導体レーザーの選び方

ここまでお話したように、半導体レーザーは数多くの用途につかわれているレーザーです。

そのため、半導体レーザーの製品には、出力や波長など、多くのバリエーションが存在しているので、自社の用途に合った半導体レーザーを選ぶのもひと苦労です。

そこで、ここから先は半導体レーザーの選び方について、ポイントをおさえていきます。

半導体レーザーを選ぶには3つのステップが必要

1.半導体レーザー(レーザーダイオード)の選択

2.半導体レーザー(レーザーダイオード)電源の選択

3.半導体レーザー(レーザーダイオード)電源のパッケージ選択

1.半導体レーザー(レーザーダイオード)の選択について

半導体レーザー製品は、波長・電力・シングル/マルチモードがそれぞれ製品によって異なります。
ここまでで解説してきた、波長ごとの用途を参照し、まずは波長を選びましょう。

波長を選んだら、電力とシングル/マルチモードを選択します。

電力の違いにより、半導体レーザーの使いみちが大きく変わってしまうことはありませんが、
実験などの用途に用いる場合や、照射時間・消費電力など気にされる場合は、電力も正確に選ぶ必要があります。

また、シングルモードよりマルチモードの方が誘導放出の効果が高く、そもそものレーザー素子の出力も高めとなっています。

導入する半導体レーザーが決まったら、

2.半導体レーザー(レーザーダイオード)電源の選択

3.半導体レーザー(レーザーダイオード)電源のパッケージ選択

これらを選択する形になりますが、 波長・電力・電源など、自社の用途に合った最適な組み合わせを判断するのはなかなか難しいです。

半導体レーザーの導入をご検討されているなら、御社の利用環境や目的についてしっかりヒヤリングさせていただいた上で、もっとも適した半導体レーザーとレーザー電源の組み合わせをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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以下のページで、半導体レーザーのもっと詳しい選び方や、弊社で取り扱っている半導体レーザー製品へについて詳しく知ることができます。


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