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FluidInspectIR® インラインオイルコンディションアナライザー用途例

発電エンジン/タービンのインライン潤滑油劣化測定

発電エンジン/タービンのインライン潤滑油劣化測定

潤滑油(オイル)は、様々な電力プラントの発電エンジンの運転において、エンジンの状態に大きな影響を及ぼす項目です。よって、潤滑油の状態を正しく把握することは、重大障害を予知し対策するために非常に重要です。

通常、潤滑油状態を測定するためには、研究所や第三機関に依頼する必要があります。ただし、この手法には「サンプリングから試験レポートを受け取るまでに時間がかかる(5日間程度)」、「潤滑油のサンプル測定を頻繁に実施することが困難なため、適切な交換時期をエンジニアが少ない測定から決定しなければならない」という問題があります。

そこで、Spectrolytic社は、潤滑油の状態を測定するためのインライン測定システムを開発しました。このシステムは、潤滑油の状態をリアルタイムに測定し、主要なデータをクラウドなどに送信します。これにより、顧客は潤滑油の交換を適切に行い、リスクの回避やメンテナンスコストの削減を実現しています。

ここでは、実際の測定システムの内容を詳しく説明していきます。

FluidInspectIR® インラインオイルコンディションアナライザー製品詳細

1.従来の潤滑油の劣化測定の問題

従来、発電用エンジン/タービンなどの運用および保守をしているプラントエンジニアは、定期的に潤滑油サンプルを採取し、分析のために研究所または第三機関に送っていました。
この一連の流れは、非常に手間がかかるとともに、システムのメンテナンスに取って重要な潤滑油状態の検査結果を知るまでに、大きなタイムラグが発生するという問題があります。例えば、潤滑油の状態に大きな問題があったとしても、それを知るまでの間その状態で可動を続けてしまい、大きな故障につながる可能性があります。

2.リアルタイムでの潤滑油劣化測定のメリット

潤滑油の状態をリアルタイムで測定することで、高価値の発電エンジンの状態を遠隔で知ることができます。
これにより、以下のような効果が得られます。

  • エンジニアの潤滑油の調査工数の削
  • 潤滑油交換間隔を適切化し、エンジンのダウンタイムを最小限に抑える
  • 障害やその傾向への対策の実施が可能になる

リアルタイムの潤滑油のシステムにはコストがかかりますが、このようなメリットがあるため、お客様にはコスト以上の価値を感じてもらっています。
また、リアルタイムのデータを他の装置・センサーと統合することでさらなるエンジンの最適化を検討することも可能になります。

3.インラインの潤滑油劣化測定システム(Fieldkit)の内容

Spectrolytic社のインライン潤滑油劣化測定システム(Fieldkit)は、プラグアンドプレイで導入できるように最適化されているため、容易にインライン導入が可能です。例えば、Fieldkitをエンジンのメイン潤滑油フロー(潤滑油タンクからのバイパスフローなど)の間に挿入していただくだけです。現在、粒子センサー、粘土センサーをご使用の場合には、それらのセンサーと組み合わせてご使用いただくこともできます。

Fieldkitの筐体内には、潤滑油コンディションセンサー「MIRS-T」が搭載されています。このセンサーは、インライン中赤外(MIR)分光器で、潤滑油の劣化を赤外線の吸収の変化から測定します。この分析方法は潤滑油の状態を測定する研究所や第三者機関で使用されているものと同じで、非常に正確なデータを定量に測定する事が可能です。
また、Fieldkitは安全性にも配慮して設計されており、Fieldkitがダウンタイムの原因とならないよう多く安全機能も備えている点も特徴です。

FieldkitとFieldkit内部

4.Fieldkit内の潤滑油コンディションセンサーの詳細

Fieldkit内に搭載されている中赤外分光センサー「MIRS-T」は、取得したスペクトルから多数の潤滑油劣化パラメータを取得して、潤滑油の状態をリアルタイムに出力します。

(1)対応する潤滑油

Fieldkit内に搭載されている標準の潤滑油コンディションセンサーは、グループ1~3のベース潤滑油と様々な添加剤(分散剤、基剤、酸化防止、腐食防止など)を含むほとんどのガスエンジン向けの潤滑油に対応します。
そして、潤滑油の化学的性質に応じてカスタムすることが可能で、合成油ベースの潤滑油に対応する事もできます。

(2)測定できる項目

センサーは、“酸化”、“ニトロ化”、“硫酸化”、“水”、“添加剤の枯渇”、煤(すす)“などの項目を直接測定します。
そして、これらの測定結果は「世界最大規模の標準化団体である米国試験材料協会のASTM規格 E00241」に準拠したものです。
さらに、“TAN”、“TBN”、“粘度”、“ipH”などの他のパラメータも、独自のケモメトリクスモデリングソフトウエアを使用することで、過去の潤滑油分析データから導き出すことができます。

5.Fieldkitの測定データ管理

Fieldkitに付属するソフトウェアは、関連するメンバーが簡単に測定データにアクセスできるような仕組みを提供します。

(1)データはクラウドサービスに送信

場所やインフラに応じて、Ethernet、LTE、衛星通信など、好きな通信形態を選択することが可能です。
ユーザーはクラウドのWebポータルですべてのセンサーにアクセスし潤滑油の状態を把握することができるので、各パラメータの制限などを設定すれば、潤滑油の状態に応じてフラグを立てること(アラームを表示するなど)ができます。

(2)既存のシステムへの統合可能

データストリームにRS232またはCANopenインターフェースを使用できるので、現場の制御システムと直接統合するように設定できます。

(3)取り扱うデータはカスタム可能

潤滑油コンディションのパラメータ、温度、圧力、流量などで構成されるデータを、カスタムされた様々なオプションで送信できます。

6.製品情報

本システムは、発電用タービン(蒸気、ガス、水力)だけではなく、プラントや病院の大型ガスコンプレッサー、掘削機、大型トラックなどでも活用が可能です。
潤滑油のモニタリング(測定)でお困りの方は、ぜひケイエルブイまでお問い合わせください。

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