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IoTがもたらす変化を定義することが
危険な理由

2018.07.05 |  IoT

技術革新による産業の変化は、経済の発展をもたらし、私たちの社会の在り方を変えてきました。

今、新しい変化の波が訪れています。IoTが社会の形と私たちの生活に変化をもたらそうとしています。社会の変化に対応するために、これからどのような変化が起きるのか知りたい人は多いでしょう。

しかし、これから起こる変化を定義づけることは、ある種の危険性を伴います。 では、どうして変化を定義づけることが危険なのでしょうか。

今回は「変化」に着目しながら、IoTによる社会の転換を見直していきましょう。

まずは変化とはそもそもどういう性質のものなのか、その性質を明らかにします。そして、現在私たちの社会に大きな変化をもたらそうとしているIoTについて考えていきます。

そもそも変化はいつ起こる?

― 変化の始まりとは

根底に立ち返り考えてみますが、そもそも「変化」はいつ起こるのでしょう。

変化とは、広辞苑によると「ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること」を意味します。 つまり、現状が移り変わる始まりが「変化の始まり」であり、現状が別の状態になり終えたときが「変化の終わり」となります。 簡単な例を挙げるならば、あなたの植えた朝顔が育ち、花が咲いたとします。花という観点で見る場合、朝顔の花が開き始めたときが「花の変化の始まり」となります。朝顔の花が完全に開ききったら「花の変化の終わり」を意味するでしょう。つまり、蕾が閉じている状態から、開いた状態へと「変化」したのです。
「朝顔の花」であれば、その変化は明白です。閉じているか、開いているかを目で確認すれば、変化がわかります。まさしく、一目瞭然といえるでしょう。

しかし、「社会」が大きく変わった場合、私たちは「変化の始まり」をどうやって認識すればいいのでしょうか。 もしかしたら、変化はあなたの知らないところで勝手に始まっているかもしれないのです。

― 変化を名づけるということ

社会ではなくとも、あなたの国や街にも変化は起こります。 こういった大規模な変化を、私たちはどのように認識しているのでしょうか。

少し過去にさかのぼって考えてみましょう。

ジャンヌ・ダルク

14世紀から15世紀にかけて、フランスとイギリスの間で展開された長きにわたる争いは「百年戦争」と呼ばれています。

シェイクスピアの作品には、この争いを題材にしたものがあります。もしかしたら、多くの人にとっては、シェイクスピアの作品よりも「ジャンヌ・ダルク」という名前の方が馴染み深いかもしれません。

しかし、今回は、シェイクスピアでもジャンヌ・ダルクでもなく「変化」を中心に、この戦争について考えていきます。

百年戦争はどんな変化をもたらしたのでしょうか。

この戦争によってもたらされた変化とは「フランスとイギリスの国境が決定された」というものです。

それまで、2つの王国の国境は揺らいでいました。 例えば、フランスの王様が、イギリスの領土に攻め込み、これを奪えば、その瞬間から、その土地は「フランスの領土」となります。こんな具合に、国境が定まらなかった両国に確かな国境が生まれました。この戦争によって定まった国境は、現在に至るまで変わっていません。 つまり、百年戦争は「500年以上変わらない国境を決定した戦争」といえます。これは歴史上、大きな変化です。

では、当時の人々が、この期間に起こった数々の争いが「国境の決定という大きな変化をもたらす争い」だと認識していたかというと、そんなことはありません。

当時は、現代のようなテクノロジーは存在せず、人々が社会のことを知る手段は、今よりもずっと限られていました。そんな状況で、社会の変化など認識できようもありません。

そもそも、この約100年の間に起こった数々の争いが「百年戦争」と名づけられたのは、争いが起こった300年以上後の20世紀初頭なのです。 一般的に、百年戦争の始まりは、1337年11月1日にイギリス王エドワード3世が、当時のフランス王フィリップ6世への挑戦状を送りつけたときであるといわれています。このイギリス王による宣戦布告によって116年にわたる対立の幕が上がりました。

しかし、エドワード3世をはじめとする当時の人々は、両国が100年以上争うことなど想像すらしていなかったことでしょう。 そして百年戦争が終結した15世紀当時の人々は、このとき決定された国境が500年以上変わらない、とは夢にも思わなかったはずです。

変化の始まりにいた人々と、変化の終わりにいた人々でさえ、変化を認識していませんでしたし、まして当時の数多の争いに「百年戦争」などという呼称はありませんでした。 社会や国を変えるような大規模な変化は、変化が終わった後、過去を振り返った人々が「あれは社会を変えるような大きな出来事だった」、「あのとき変化が起こった」という具合に認識するものなのです。
そして、一連の出来事を「名づける」ことで、「この出来事によって何がどう変わったか、そもそもこの変化はなんだったのか」という具合に変化は定義づけられるのです。

ちょうど、19世紀の人々が、14世紀から15世紀の間に、フランスとイギリスの間に起こった争いを一括りにして「百年戦争」と名づけるのと同様です。

インダストリー4.0という変化

― IoTによる変化と百年戦争の違い

「百年戦争」の事例を見ていただければ分かる通り、大規模な変化は、未来の人々よって認識され、名づけられ、定義づけられます。
しかし、IoTによる変化は、これとは少し性質の違ったものです。

なぜなら、IoTによる変化には、すでに「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」と名づけられているからです。

2012年、ドイツが国家戦略として掲げた「インダストリー4.0」が世界に広まり、日本では「第4次産業革命」と呼ばれるようになりました。 技術革新によって産業が発展し、経済が活性化することを、私たちは「産業革命」と呼びます。

最初の産業革命は、18世紀後半に、イギリスから始まりました。しかし、このときも当時の人々は、「百年戦争」の場合と同様に、「これが最初の産業革命だ!」とは認識していませんでした。イギリスから始まった一連の変化に「第1次産業革命」という名称が与えられたのは、19世紀になってからなのです。 つまり、IoTによる変化「インダストリー4.0」と、「百年戦争」や「第一次産業革命」との違いは、「変化が起こっている当時に名づけられたかどうか」というところにあります。これまで見てきた通り、「百年戦争」や「第一次産業革命」は、変化が起こったずっと後に名づけられたのです。

変化の渦中にありながら、変化を名づけることができるようになったのは、テクノロジーが発展し、私たちが社会の内にいながら、社会の全体を俯瞰することが可能になったからでしょう。情報網の発達や、技術の発展が、私たちに社会全体を見渡す視点をもたらしたのです。

― 私たちは変化を創り出す立場にある

「すでに名づけられている」とはいえ、私たちが変化の渦中にあることは変わりありません。

私たちは、変化の流れの途中にいます。その中で、変化を定義づけるのは「変化の幅を限定してしまうこと」に他なりません。 これは危険なことです。私たちが変化を定義づけること、つまり「インダストリー4.0とは、こういう変化だ」と決めつけるのは、未来で起こりうる可能性の扉を閉ざすことに他なりません。

IoTには無限の可能性があります。 私たち自身の「IoTを導入することで、こういう問題を解決したい、新しい価値を生み出したい」という明確な目的意識こそがIoTの可能性です。だからこそ、変化を定義づけるのではなく、私たちが「インダストリー4.0」という変化を創り出し、推し進めていかなければなりません。

「社会の形がこう変わる」という見方ではなく「私たちがどうするか」を考え、IoTと向き合うべきなのです。 そして、いつかIoTが普及し、社会の在り方が大きく変わったとき、「変化の終わり」が訪れるでしょう。そのときの人々が、「インダストリー4.0」を定義づけるはずです。

変化を定義づけるのは、未来の人々にお任せし、私たちは変化を創り出していかなければなりません。

予想される変化

変化を定義づけることは、変化の可能性を狭めるという危険性がありますが、これから起こりうる変化を予想せずにいることは、別の危険性をもたらすでしょう。

ここでは、どのような変化が予想されるのか、企業の変化と私たちの変化、2つの側面から見ていきます。

― 企業にもたらされる変化

IoTの導入は、企業にどのような変化をもたらすのでしょうか。

第一に挙げられるのは、ビジネスモデルの変化です。これまでの売り切り型のビジネスに対し、多様な貸与・許可型のビジネスが発展することが予想されています。

また、IoTによる変化を語る上では、「つながる」というキーワードは欠かせません。これまで以上にネットワーク化が推進されることで、今までつながりのなかった技術や産業同士が結びつき、相互に影響し合うことで、これまでになかった技術や、新しいビジネスモデルが生まれることでしょう。

― 私たちにもたらされる変化

IoTが私たちの生活に浸透していくことで、私たちの日常は、どのように変化するのでしょうか。

身近な事例では家電のIoT化が着々と進行していています。「IoT家電」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。
こうしたIoT家電は、スマートフォンアプリと連携することによって、離れた場所にいながら、戸締りや、照明といった家の状態を把握・管理することが可能になっています。

また、IoTデバイスは、モノが情報を感知し、蓄積する機能も備わっているため、私たちの生活の細やかなデータを蓄積していきます。IoT化が進行することで、近い将来、私たちの生活を可視化し、よりパーソナライズされたサービスの提供により、一人一人に合ったライフスタイルが実現されるかもしれません。