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KLV大学 ハイパースペクトルカメラコース

機械学習/ディープラーニングを活用したスペクトル解析

2022.01.14 | 

機械学習は、データ解析の手法の一つで、データをコンピューターに学習をさせることで、そこから導き出したルールやパターンに基づいた「判断」ができるようにしたものです。これを活用することで、人間が行なっていた作業をコンピューターで実現することが可能になります。

昨今、機械学習に関してハード面、ソフト面の様々な技術が進歩し、機械学習の発展形であるディープラーニングにおいては、将棋やチェスで人間に勝つほどの実力を示すなど、目覚ましい活躍を見せています。
画像解析、音声解析、データ解析など身近なところでも活用されており、機械学習は、スペクトル解析の分野においても新たな解析手法の一つとして注目されています。

本記事では、機械学習がスペクトル解析でどのように活躍するのか、実例を示しつつ紹介していきます。

これまでのスペクトル解析と機械学習によるスペクトル解析の違い

machine-learning-vs-statistical-analysis.png


スペクトル解析は、簡単な方法は、グレースケール、擬似色、SAM(Spectral Angle Mapper)などによる分類などがありますが、実運用レベルでの分類・定量値の解析を実現するには、多変量解析などの統計解析を用いた方法が一般的です。

この統計解析は、データの構造を理解し予測する『解釈重視』の手法で、分光、スペクトルなどの知識や統計解析に関する知識があれば非常に有効な手段ですが、逆にそれらの知識がないと使いこなす事が難しい手法です。ハイパースペクトルカメラを検討されているお客様の中にも、「ハイパースペクトルカメラで問題が解決する可能性がありそうだが、解析が難しい」と言う理由で断念されることもあるほどです。

一方、機械学習は全くアプローチが異なり、未知のデータの予測精度を追求した『結果重視』の手法で、分光や機械学習の知識が少なくても目的である分類や定量値推定を実現することが可能です。そのため、気軽に試してみるということが可能で、機械学習の進歩に伴い、機械学習を用いたアプローチが増加しています。

注目の機械学習によるスペクトル解析

機械学習は基本的には、機械に覚えさせるための正解データである"データセット"を作成し、それを入力として学習させるだけでモデルを作成することができます。
ここで必要となるデータセットは、スペクトル解析の分類においては、撮影データと各ピクセルが何に分類されるのが正解かという情報です。

このデータセットが、機械学習の精度を決める重要な要素であり、ユーザーは、作成したモデルの結果と期待値を比較しながら、学習のデータセットをブラッシュアップしていく必要があります。

分類イメージ

データセットの種類に関して

 データセットには、モデルを作成する際に使用する「学習用データセット」と評価に使用する「テスト用データセット」があります。
これは学習用データ向けにのみに注目して学習することによるオーバーフィッティングを防止するためで、テスト用のデータセットを用意することで、オーバーフィッティングがされていないか、学習データにない未知の入力があった際にどのような結果になるのかなどを評価することができます。

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分類したいものを塗り分けるだけで、機械学習ソフト”Perclass”がスペクトルの分類モデルを作成します。 さらに作成したモデルは、ハイパースペクトルカメラ”Cuert ULTRIS”の撮影動画に適用して、リアルタイムの分類が可能です。
スペクトル解析の専門的な知識がなくても、穀物、プラスティック、異物など目では見分けられないものを簡単に動画で分類可能です。

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ここからは、機械学習を用いたスペクトルデータの解析について、複数のものをカテゴリ分け(色分け)するための「分類」と定量値を求める「回帰」のそれぞれの手順を確認していきます。

分類

分類は、データを事前に定義したクラスに分けることを指します。
一般的な例で言うと、ある顧客が買い物をするかしないかという予測をするのが分類です。
スペクトル解析の例では、収穫したナッツの中からナッツ以外(枝や葉)を検出したいという場合や、収穫したナッツの中から不良のナッツを見つけ出したいという場合です。

分類イメージ
(1)モデルの作成

データセット作成フェーズでは、分類したい対象の種類の数だけクラスを用意し、それぞれのクラスに分類されるスペクトル(スペクトル画像のピクセル)をラベル付けしたデータセットを用意します。機械学習では、これだけで、モデルを作成し、実際に特定のスペクトルデータに対して分類を行なった結果を得ることができます。

機械学習_分類
(2)モデルの改善

次に、精度改善のフェーズでは、期待通りになっていない箇所の原因を確認し、改善します。
改善の方法には、以下のような物があります。

データの追加 分類が難しかった点、分類が期待通りに行なわれていない点を新たにクラスに割り当てる。
入力データ(撮影データ)を増やして、網羅性を高める。などデータセットを変更することがモデル改善のメインの手法です。
重み調整 期待通りにならない結果に対して、クラスの重みなどのパラメータを変えることができます。 
ただし、一つの結果を期待通りに変更すると、別の結果で期待通りにならない箇所が出てくる可能性が高いことに注意が必要です。
使用するデータの条件を限定 使用するスペクトルの波長を限定するなど、ノイズと思われるデータを使用しないことで、精度が改善する場合があります。

機械学習は、先にも述べたように結果重視の手法なので、「モデルの実行→解析→改善」と結果を得て修正すると言う手順を繰り返しながら精度を上げていきます。

回帰

回帰は、値の予測を行うこと手法です。
一般的な例では、ある顧客が買い物をするかしないかと言う予測だけではなく、何回買い物するか、何円買い物するかと言う予測です。
スペクトル解析の例では、水分量や2つの粉体の比率など定量値を求める場合が回帰になります。

分類イメージ
(1)モデルの作成

回帰では前処理として解析対象の領域を抽出する必要があるため、まずは分類と同じ手法で、領域を抽出するためのクラスとラベルのデータセットを用意します。
そして、それに加えて、各領域の正解情報である定量値のデータを与える必要があります。これにより、機械学習は各領域の定量値を解析することができるようになり、結果は、横軸に期待値、縦軸に計算値を取ったグラフで与えられます。

機械学習_回帰解析
(2)モデルの改善

回帰の精度改善のフェーズでは、分類と同じように値が期待通りになっていない箇所の原因を確認し、以下のような改善を行います。

ポイントの削除と追加 結果に外れ値がある部分は、データが正しいのかも含めて確認した上で削除するなど精査が必要です。また、不意均一性がある場合などは、ある一定の領域に対して定量値を与えるなども有効です。
スペクトルデータへの前処理の追加 機械学習においても、統計解析と同じようにスペクトルに対して前処理を行うことで精度が上がることがあります。
前処理には、平滑化(スムージング)、一次微分、二次微分などがあります。例えば、微分を使用すると、傾き(変化点)を強調して解析することができます。
使用するデータの条件を限定 使用するスペクトルの波長を限定するなど、ノイズと思われるデータを使用しないことで、精度が改善する場合があります。

機械学習を用いたスペクトル解析ソフト

機械学習を用いたスペクトル解析ソフトとして、perClass社の「perClass Mira」をご紹介します。

ハイパースペクトル解析ソフトウェア perClass Mira

ハイパースペクトル解析ソフトウェア perClass Mira

ハイパースペクトルカメラで取得したスペクトル画像を素早く解釈し、機械学習により自動で分類モデルを構築することが可能です。

製品詳細

ここでは、perClass Miraの特徴を3つ紹介します。

1.連携するスペクトルカメラを選ばない

ENVI形式の入力に対応しているため、ほとんどのハイパースペクトルカメラで撮影したスペクトルキューブをそのまま読み込むことができます。よって、使用するハイパースペクトルカメラを選びません。
すでに、Cubert、Imec、Inno -spec、Hedwallなど多数のハイパースペクトルカメラで実績があります。

2.直感的で使いやすいインターフェース

クラスやラベルの設定を直感的に且つ簡単に実施することができます。
また、分類、回帰の両方に対応しており、それぞれで、モデルの精度の解析、改善するための機能が搭載されており、分光や機械学習に詳しくないユーザーでも使いやすく設計されています。

3.機械学習で作成したモデルをツールに組み込み可能

作成したモデルは、SDKを利用して様々なプログラムに組み込むことが可能です。
また、すでに連携環境が用意されているツールも存在しており、例えば、動画が撮影できるハイパースペクトルカメラULTRISで撮影したデータをそのままモデルでリアルタイムに分類するということもすでにできるようになっています。※
 ※「Cubert Utils Pro」との連携により可能になります。Cubert社のULTRISについてはこちら

まとめ

これまで、統計解析が一般的で、専門的な知識がなければ実施できなかったスペクトル解析が機械学習により、より簡単に実施することができるようになっています。

すでに、分類、回帰ともに実施ができるツールもリリースされており、実際に触って試していただくことも可能です。機械学習を用いたスペクトル解析にご興味がある方は、ケイエルブイまでお問い合わせ下さい。

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